自転車

ボスフリー7速とカセットスプロケット8速について改めて学ぶ

7-8速スプロケットについて学ぶアイキャッチ画像

プレジショントレッキング(プレトレ)という自転車を旅仕様に改良して乗っています。

北海道海岸線一周を達成後、旅のなかでさらに軽いギアの必要性を感じてリアの8速化を行いました(その時の記事は自転車後輪を8速化させて快適に【プレトレ×旅仕様】

その際、「ボスフリーのまま7速スプロケットを交換するか、ホイールごと新調してカセットスプロケットにして8速化するか」という点を悩み、後者を選択した経緯があります。

当時、考えていたことをまとめていたらそれなりのボリュームがあったので、一度整理して記事にしてみることにしました。

ギアの仕組み:ギア比って何だろう?

普段の生活で、(少なくとも)私は何気なくギアをいじって変速しています。平地で重くしたり軽くしたりほとんど無意識ではないでしょうか。

では、このギアの仕組みってどうなっているのでしょう?

ギア比について学ぶ

自転車のギアはギア比という仕組みを学ぶと理解が深まります。簡単にいえば、フロントのギア数とリアのギア数の組み合わせの比率のことです。

私の改良前の自転車(プレトレ)を例にします。フロントはシマノ ALTUS FC-M311 48-38-28T 170mm ガードあり、リアはシマノ MF-TZ21(14-16-18-20-22-24-28T)を使用していました。

ギア比の求め方は以下の通りでとても簡単です◎

【ギア比の求め方】

フロントのギア(T) / リアのギア(T) = ギア比

(T)…Teeth、歯数、丁などの意


上記の式から求まったギア比の数値は以下の意味を持ちます。

求まったギア比の数字 = ペダルを一回転漕いだ時にタイヤが何回転するか

私の自転車を例に数字を出してみます。極端に最も軽いインナー×ロー、最も重たいアウタートップの組み合わせで考えてみましょう。

【私の自転車を例とした計算例】

インナーロー(最も軽い)…28 / 28 = 1

アウタートップ(最も重い)…48 / 14 = 3.43(小数点第3位を四捨五入)

求まる数字が高いほど、ペダルが一回転したときに進む距離が多い(=タイヤが回る)と書きましたが、インナーローとアウタートップの数値を比べるとまさにそれを現す結果となっていますね。

これら数値を言い換えると、数値が小さい(軽い)代わりに距離は進まない、数値が大きい(重い)代わりに距離を進むことができるとも言いかえることができます。

ペダルの漕ぎ心地が変化する不思議

ところで、なぜペダルの漕ぎ心地が変わるのでしょうか。仕組みとしてはインナーローが最も軽く、アウタートップが最も重くなります。

フロントは丁の少ないインナーが軽く、丁の多いアウターが重い、対してリアは丁が少ないトップが重く、丁の多いローが軽くなります。丁の数が漕ぎ心地を決めている訳ではなさそうです。

この疑問は以前、リアディレイラーの調整方法とB軸、ガイドプーリーの分解・清掃という記事で扱っているのでその内容を再掲載します。

ギアの歯数と軽さの説明として、ギア比が云々…など色々とあるのですが、まずは”てこの原理”で簡単に理解しましょう!

【前輪の場合】

クランクの中央部分が支点、ペダルの位置が力点、チェーンのかかったギアの位置が作用点です。支点と力点は固定なので、力の入れ具合を変えるためには作用点の位置を変える必要があります。これが変速の意味で、フロントギアの仕組みです。

支点と作用点の位置が近いとかける力は小さくて済みます(その代わり何回も漕ぐなど回転数は必要になります)つまりインナーギアは支点から近く軽くなり、アウターギアは支点から遠く重くなります。

【後輪の場合】

スプロケットの中心が支点、チェーンとギアの接地面が力点、それによって動くタイヤが作用点です。

支点と力点の距離が離れるほど、力を入れずに動かせるようになることから、支点から最も遠い歯の多いローギアが軽くなり、逆に支点から最も近いトップギアが重くなります。

軽くて楽が出来るのはメリットですが、力は与えた分しか進みません。そのため軽くしたギアでは、”軽くした”分しか進まないともいえます。

これは入出力のエネルギー量が同一であるというエネルギー保存の法則で説明されます。フロント、リアとも同様です。

リアディレイラーの調整方法とB軸、ガイドプーリーの分解・清掃より引用

フロントギアの数値が大きい段ほど重く、リアギアの数字が小さい段ほど重いという不思議な現象はこんな仕組みによるものです。

自分の自転車のスペック(ギア比)を理解する

最低限の仕組みが分かったところで、自分の自転車(プレトレ)のギア比について勉強します。フロントギアは48-38-28T、リアギアは14-16-18-20-22-24-28Tです。これらを組み合わせると以下の表が出来上がります。

    後(MF-TZ21)
  28 24 22 20 18 16 14
28 1.00 1.17 1.27 1.40 1.56 1.75 2.00
38 1.36 1.58 1.73 1.90 2.11 2.38 2.71
48 1.71 2.00 2.18 2.40 2.67 3.00 3.43

これが私の自転車のギア比の実態です。

しかし、3×7の全てが使用できる訳ではありません。チェーンのたすきがけ(アウターローとインナートップ)はチェーンに負担が掛かるという考えが存在し、使用NGとされています。

その2カ所は赤で塗っておいたので、実際に使えるのはその2つを除いた19パターンということになります。

ただ、19パターンといっても小数点2位の数字しか違わない似たものもあるので、実際に変化を感じる数字はもう少し少なくなり、組み合わせ数が多ければいいというわけでもなさそうです(1.56と1.58、2.38と2.40など)

実際にこのパーツ構成で走ってみて

上記構成自転車で街乗り、峠道、長旅をした際の感想です。

街乗りで使用する際はフロントミドルであることがほとんどです。それでほとんどのケース事足ります。まれに坂道を上る際にフロントをインナーに、信号の少ない大通りを走る際にアウターに入れることもある程度でしょうか。たくさんあると安心感はありますね。笑

峠道においては常にフロントをインナーにします。過去にヤビツ峠を上った際はリアを2、3速残しておいた状態で走りきることができました。何度も走って道を覚えていた余裕もあったと思います。初めての坂を上る場合、ギア比1.00では不安を残します。

長旅、北海道海岸線一周においてはギアの枚数が足りないと感じました。長旅の装備一式を積んで走っていたので、非常に重たく普段の走行と感覚が変わりました。峠道はもちろん上り下りを繰り返す丘のような道で非常に消耗しました。知床峠では「せめて軽いギアがあと1枚あれば…」なんて場面が多々ありギア比の改善を欲しました。

自転車のスプロケットを交換しよう

前置きが非常に長くなりましたが、北海道一周という経験をした際に、私のプレトレの最も軽いギア比は1.00(28/28)構成に限界を感じてしまったのでした。

そこでスプロケットを交換して、丁の構成を変えようというのがそもそもの動機になります。しかし、スプロケットには2種類の規格があります。プレトレはボスフリー、興味があったのがカセットスプロケットです。互換性はありません。

さて、プレトレを進化させることは出来るでしょうか?

スプロケットの種類

ボスフリーとカセットスプロケット

ボスフリーとカセットスプロケット(カセットフリー)の違いはフリーと呼ばれる機構の位置です。フリー機構はペダルを空転させるための仕組みですが、ボスフリーはフリー機構がギアに備わり、カセットスプロケットはフリー機構がハブに備わります。

ボスフリーはママチャリや古めの自転車に採用されている規格です。6~7速をよく見かけます。8速も海外の部品であるようですが多くは見かけません。

対してカセットスプロケットは8速以上のスポーツタイプの自転車で多く使用されます。

私の場合、旅自転車用の軽いギアが欲しいという明確な目的があるのですが、ボスフリー7速を交換することと、ホイール+8速カセットスプロケットを新調することのどちらが良いでしょうか。

以下、出回っているパーツで比較してみたいと思います

7速ボスフリーの選択肢

初期装備のホイールを生かす場合、ボスフリーの7速スプロケットを探す必要がありました。安心のシマノ製で探すと2019年現在で以下の製品が見つかりました。

  1 2 3 4 5 6 7
  28 24 22 20 18 16 14
MF-TZ500 7S 14-28T 28 24 22 20 18 16 14
MF-TZ500 14-34T 34 24 22 20 18 16 14
MF-TZ500-7-CP 14-28T 28 24 22 20 18 16 14
MF-TZ500-7-CP 14-34T 34 24 22 20 18 16 14

型番の後ろにCPと付くものはチェーンプロテクターの意味と思われます。

プレトレに初期装備されていたMF-TZ21は現在はないみたいで、MF-TZ500シリーズが後継のようです。またMF-HG37(13-15-17-19-21-24-28)という高速域を重視した製品もあったようですが、現在は流通していないようです。

これら製品情報は記事一番下にまとめておきますね(*1-3)

表にまとめた製品のうち、14-28Tは装備中の仕様と変わらないため除外します。注目すべきは34T装備のスプロケットです。これを付ければギア比0.82(28/34)を獲得し、1.00を切ることが出来ますね。

しかし、24Tから次のギアが34Tとは大きく飛びますね…(^^;)

8速カセットスプロケットの選択肢

ホイールを交換できる前提でスプロケットについてのみ考えます(8速化の話は自転車後輪を8速化させて快適に【プレトレ×旅仕様】にて)現在入手できる製品は以下のものがありました。

  1 2 3 4 5 6 7 8
装備中のギア 28 24 22 20 18 16 14
CS-HG50 11-34T 34 28 24 21 18 15 13 11
CS-HG51 11-32T 32 28 24 21 18 15 13 11
CS-HG51 11-30T 30 26 23 20 17 15 13 11
CS-HG51-8 11-28T 28 24 21 19 17 15 13 11
CS-HG50 13-26T 26 23 21 19 17 15 14 13
CS-HG50 12-25T 25 23 21 19 17 15 13 12
CS-HG50-8 13-26T 23 21 19 17 15 14 13 12
CS-HG200-8 12-32T 32 28 24 21 18 16 14 12

スプロケットは移り変わりが激しく、型番が頻繁に変わる印象があります。HPをみると現行品の8速はHG50(Clalisシリーズ)なのかな?以前はHG41とか31がありましたが、こちらはMTB用のようで、現在は50系に吸収されているようです。

HG200はTourney TX800シリーズです。12丁から18丁までは2丁飛びずつというのが、装備中のギアと似ています。トップの数字を重視しないなら使いやすそうです。品質はどうなのだろう…?

こんな感じでパッと探しただけでも8種類ほどありました。ちなみに11-34のように各ギアの変速比の差が大きいスプロケットをワイド(wide)レシオ、12-23のように差が小さいスプロケットをクロウス(close)レシオといいます。

表を見ると分かりやすいのですが、ワイドレシオのスプロケットは大きな数字のギアが含まれているので山登りに向き、クロウスレシオは数字が小さく範囲の狭いギアの集まりなので、スムーズな変速が実現でき、これは平地に向きます。

これらギアの組み合わせを自分の用途に照らし合わせて、好みのものを選択します。

今回、私が求めているのは峠道における快適性なので、装備中の28Tより大きいギアを持つタイプを選べば良いことが分かります(ピンクで塗った3種類のスプロケット)

フロントが28と仮定してギア比は、34Tで0.82、32Tで0.88、30Tで0.93となります。どれを選ぶかは使ってみてしっくりくるものとしか言いようがないですね。私は真ん中の32Tを選択して様子をみています。

8速化することで小さい数値のギアも合わせて獲得することができます。私はのんびりタイプなので重たいギアはそこまで重視していませんが、足が強くて速度を出したい人は恩恵があると思います。

このようにカセットスプロケットは選択肢が非常に多く、目的に応じてスプロケットを交換することで1つの自転車様々な状況に対応することができるようになります。

結局どうした 7速変更 or 8速新調の行方

結局のところ私は8足化の道を選びました。スプロケの豊富さ、ただ単にやってみたかった気持ち(笑)それとハブの構造を考えてのことです。

ギアの構成も8速が良かったです。7速(34-24-22-20-18-16-14)と今回選んだ8速を比べると(32-28-24-21-18-15-13-11)、そして現在装備中のギアを比較してみました。

  1 2 3 4 5 6 7 8
装備中のギア 28 24 22 20 18 16 14
MF-TZ500 14-34T 34 24 22 20 18 16 14  
CS-HG51 11-32T 32 28 24 21 18 15 13 11

7速(14-34)の方にも34Tという高い数値のギアが付くのですが、2速目が24Tと10丁飛ぶことになってしまいます。対して8速(11-32)のギアは32Tの次は28Tと段跳びが緩やかですね。また、装備中の1速(14-28)が28Tであることから、8速(11-32)を選ぶと装備中のギアに+32Tが足された感覚で使用することが出来そうですね◎

ハブの構造の話ですが、ホイールのベアリングの位置がボスフリーとカセットスプロケットでは異なります。ベアリングの位置がボスフリーはギアの内部に収まるのに対して、カセットスプロケットはギアの外側に付いています。

耐久性はベアリングが外側に付いているカセットスプロケットに軍配が上がるようです。旅自転車は荷物をたくさん載せるので耐久性は考慮したい点ですよね。

以上の点を総合的に評価して8速化を行いましたという流れになります。

…でもまあ、何だかんだボスフリー7速(14-28)で北海道海岸線一周3000km達成しちゃっているんですけどね。汗

おまけ:リアディレイラーに注意

リアディレイラーには型番の後ろにSSやGSという文字がついています。SSはショート、GSはロングの意味で、大別するとクロウスレシオがSS、ワイドレシオがGSです。

どちらを選ぶかはそれぞれの自転車によって異なり、スプロケットの数値で計算することになります。

これら計算の方法は、以前以下の記事にまとめましたのであわせてご覧下さい。簡単な計算で求められるので構えなくて大丈夫です◎

Clarisリアディレイラーの画像
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まとめ

以上、ボスフリー7速とカセットスプロケット8速について改めて学ぶでした。

スプロケットの仕組みなど基本的な部分が中心の内容になってしまいましたが、急がば回れということで(^^;)

でも、ギア比のことを理解できれば何となくスプロケットを交換するということはなくなりますよね。7速から8速にグレードアップしたから性能が上がるというのはやや軽率な考えで、実際は装備される丁の数値で乗り心地が変わるということです。

自分が乗るものなので好きなものを使えばいいのですが、カセットスプロケットにして8速化するとスプロケの種類が増えるので、物を選ぶ楽しさは格段に増すのではないかと思います。

どんな種類のスプロケットを選ぶにせよ、ギア比のことを覚えておけば自転車をみる世界観が広がりますから是非是非◎

リア8速化アイキャッチ画像
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参考にしたサイトや文献

*1 SHIMANO | Tourney MF-TZ500-7
*2 SHIMANO | Tourney MF-TZ500-7-CP
*3 SHIMANO | Tourney MF-HG37
*4 SHIMANO | CLARIS R2000 CS-HG50-8

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