普段乗りまわしている自転車(ママチャリ)に装備されている、内装三段インター3の分解観察を行いました。
インター3は後輪のハブの中に収められている変速機のことです。ハブの中に収められているため内装変速機と呼ばれていたりします。主にママチャリ(シティサイクル)にその使用が見られます。
スポーツ車や一部シティサイクルにみられる外装変速機に比べると停止中の変速が可能、メンテナンスの必要が少ないなど自転車の整備に関心の薄いであろうシティサイクルユーザーには嬉しい設計となっています。
しかし、長いこと使用しているとラチェット音が大きくなったり、ペダルが共回りする原因を作ることがあるため、2年に一度(5000km目安)でメンテナンスをすることがSHIMANOより推奨されています(*1)
でも、ママチャリは”乗れれば良い”という、自転車に関心のない方が大半だと思うのでまずメンテナンスをされる方はいないと思いますが…(^^;)
今回は自分の所有するママチャリの後輪周りの音がうるさくなっていたこともあったので、インター3やママチャリのハブ周りの理解を深めることを目的に分解・メンテナンスをしてみることにしました。
内装三段の分解・観察・メンテナンス
まずはじめに自転車から後輪を取り外します。後輪の取り外し方が分からない方は以下の記事にまとめてあります。
これより以下の作業はTakaよろず研究所さんの内装3段変速機の分解・組立(*2 閉鎖されました)を参考にしつつ行いました。
車輪に付いているブレーキを外します。私の場合はローラーブレーキが装備されていました。
17mmのレンチを使用して取り外します。メガネレンチを所持していると力が入れやすいです。
ローラーブレーキを取り外した後の写真になります。
写真では途切れてしまっているのですが、車軸の端からナット(ピンク線)と玉押し(緑線)までの長さをノギス等で計測しておきます。各自転車ごとに数値が違うことがあるので、メモをしておくと安心ですね。
インター3を取り出すだけならば片側のナット、玉押しを緩めて取り外すだけで良いのですが、興味本位もあって反対側の長さも計測しておきます。
今回はローラーブレーキ側を取り外すので、スプロケットが取り付けられている進行方向右側のナット類は一切手を出しません。ちなみにこちらのナットは17mm、玉押しは14mmでした。
ブレーキが付いている側のナットと玉押しを取り外します。
ナットは14mmのレンチ、玉押しも14mmでしたが、レンチ同士が干渉するので、ハブコーンレンチという薄型のレンチを使用しています。
片側のナット類を外すとインター3を引きだすことが出来ます。機械の集合体って感じがしてかっこいいですね。
インター3が収まっていたホイールの内部です。最後にグリスを塗り直すので、ぼろ布などを使用して古いグリスを綺麗に拭いておきます。
長年使用していると内部にサビが発生することもあるようですが、私のホイールは大丈夫でした。ただ砂?のような粒子がいくらか散見されたのでグリスと共に取り除いています。
インター3の部品を留めているEリングを外します。ピンクの丸の部分に隙間があるので引っかかるものを何か引っかけて外します。
勢いよくEリングが飛んでいくことがあるので、反対側の手で押さえるか当て布などをすると良いです。特に外で作業するときは注意します。
私は柄の短いマイナスドライバーを使用しました。細かく力が入れやすくてEリングを外すのに使い勝手がいいです◎
Eリングを外すと中の部品が外れます。左上からEリング、キャリアユニット、リングギアユニット、リテーナー付きボールベアリング(向きに注意)+ダストキャップ、そして下にあるのが残りの本体になります。
スプロケットギア側のロックナットを外すとさらに細かく分解することができますが、この状態でも清掃は行えそうだったので片側分解のみにしています。
リテーナー付きボールベアリングを観察してみるとボールの間がグリスが固まって詰め物のような状態になっていました。爪楊枝ですべてかきだして綺麗にしました。
リテーナー付きボールベアリングが収まるダストキャップも綺麗にします。
内部への異物進入防止の役割なので砂などで汚れていました。清掃不十分だとシャリシャリ音がしたので、念入りに掃除をしました。
インター3の組み立てに入る前にスプロケ側ボールベアリングにグリスアップを行います。グリスはシマノ 内装ハブ用グリスを使用しました。
Takaよろず研究所様の“ドライバユニットを後ろにずらせば隙間ができる”という方法を参考にしました(*2)。この方法で玉押しを外さず簡単にグリスアップをすることができました。
インター3を組み立てる
組み立てながらグリスアップを行います。使用するグリスは上記で使用した内装ハブ用グリスです。ネットを見ていると様々なグリスの使用・応用例がありますが、私は分解組み立てだけであっぷあっぷだったので、グリスは基本に忠実ということで(^^;)
ラチェット(緑色部分)にグリスを塗りすぎるとうまく機能しなくなることがあるようなので注意します。
逆にリテーナー付きボールベアリング(ピンク部分)にはたっぷりと塗りつけました。
リングギアユニットを取り付けます。上からかぶせるとリングギアユニットのラチェット部分(ピンク部分)や1枚前に露わだったラチェット(緑部分)がひっかかることがあります。
ここは力任せにせずピンクの部分は指で、緑の部分は1つ1つラチェットを爪楊枝などで押し込んでやると良いです。
リングギアユニットの内部にもグリスを塗り広げていきます。これは広げ途中の写真ですが、ギアが噛みあう所には綿棒を使用してグリスアップをしました。
キャリアユニット、Eリングを取り付けてインター3が組みあがりました。
外側にもグリスを塗りましたが、先ほどと同様ラチェット部分にはグリスを塗りすぎないように注意しました(ピンク部分)
ホイールの内部にグリスを塗ります。ここも塗りすぎるとトラブルの元のようですが、正解が分からなかったので、今回はホイールの内部が隠れるか隠れないか程度を基準にしました。
一番奥にローラーブレーキ側のボールベアリングが見えるのですが、こちら側からだと塗りずらいのでインター3取り付け後、ブレーキ側から塗ります。
ブレーキ側の写真になります。緑色の丸したところにボールベアリングがあるのでグリスを塗りつけます。
玉押しを取り外した側はグリスアップが簡単でいいですね。
グリスを塗った後は玉押し、ナットを戻していきます。最初に計測した数値と同じか確認します。
その後ローラーブレーキを取り付け、ナットを締めつけたら完成です。ホイールを自転車に取り付けます。
まとめ
以上インター3の分解・清掃、グリスアップでした。
後輪のスプロケットは1つしかないのに、内装自転車は何故変速されるのかが長年疑問でしたが、今回の分解で何となく理解出来たような気がします。複雑だったので”何となく”です。
複雑な仕組みを理解するために数多くのHPを参考にしました。記事の最後にまとめておきます。
作業後、試走してみるとひっかかりが取れたような、タイヤの回りが軽くなったような感じがしました。それと音が静かになりましたね。ただ、それはそもそものホイールの取り付けが甘かっただけだとか言われると何が原因かは分からなくなりますが(^^;)
SHIMANOは専用オイル(内装ハブメンテナンスオイル)の使用を推奨していますが、ちょっと値段が張るんですよね。分解せずにインター3を丸ごとオイルに漬ければいいだけなの作業なので楽といえば楽なんですけれど。
今回使用したグリスでも良い感じなので、経過を観察しながら乗っていこうと思います。
最後にインター3はギアやラチェットなどパーツの組み合わせが複雑なので、分解をする時は細心の注意が必要です。出来ないと感じたらそれ以上作業を進めず、諦めて戻るようにしましょう。
参考にしたサイトや文献
*1 SHIMANO | Nexus 28-29P(PDFファイル)
*2 Takaよろず研究所 | 内装3段変速機の分解・組立(閉鎖)
*3 寿サイクルジャーナル | シマノ1・2・3チェンジハブの動作原理
*4 自転車修理屋 | インター3のオーバーホール
*5 サイクルショップはたの 自転車屋の修理日記 | 内装3段変速機の分解
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