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アルミ製プレシジョントレッキングのハンガー幅70mm問題の認識と解決案

アルミ製プレシジョントレッキングのハンガー幅70mm問題の認識と解決策の模索-アイキャッチ画像

私の所有する自転車のアルミ製プレシジョントレッキングのハンガー幅70mm問題と解決案についてまとめました。

私のプレシジョントレッキング(以下プレトレ)のハンガー幅は70mm(JIS規格)という少し特殊なつくりをしています。

この形状はママチャリでもみられることがありますが、自転車全体でみればマイナーな規格です。この幅に適合する適切なボトムブラケット(以下BB)は少なく、商品選びに苦労があるのが現状です。

私自身、プレトレのフロントギアの多段化にともない、2016年に一度BBの交換を行い現在に至ります。しかし、使用していたBBが生産終了になったこともあり、代替品の検討をする必要が出てきました。

そこで今回、改めてハンガー幅70mmの自転車について考えつつ、新たなBBを探すことにしました。

プレトレのハンガー幅70mm問題の認識

本記事を書くにあたっての決まり事

ボトムブラケット(以下BB)が取り付く自転車本体の箇所をハンガー、その幅をハンガー幅(mm)と呼ぶので本記事ではそれに倣います。

また、BBの長さをシェル幅と呼ぶことにします。本来、ハンガー幅、シェル幅とも同じ意味で使用されると思いますが、本体をハンガー幅、BBの長さをシェル幅とした方が文章が分かりやすいかな?と思いました。

違和感を感じたら後で修正しますが、現状は上述の通りです。

また、本記事では70mmのハンガー幅の自転車に対して、一時期、シェル幅68mmのBBをねじ込んでいますが推奨しているわけではありませんので悪しからず。

アルミ製プレトレのハンガー幅70mm問題の認識

ハンガー幅70mmの自転車のアルミ製プレシジョントレッキング(プレトレ)

こちらが私の自転車プレシジョントレッキングです。サイクルベースあさひで購入したものですが、改良を重ねて姿を変えました。改良の遍歴は以下にまとめてあります。

プレシジョントレッキング(プレトレ)の歴代改良早見表
プレシジョントレッキング(プレトレ)の歴代改良早見表プレシジショントレッキング通称プレトレの歴代改良早見表です。ペダルやブレーキシューの交換など簡単なものから、クランクの多段化、カゴ付き自転車のSTI+ドロップハンドルの導入など様々な改良に挑戦しています。当時使用したパーツは分かる範囲ですべて掲載しています。...
アルミ製プレシジョントレッキング(プレトレ)のハンガー幅は70mmだった

そのプレトレのハンガー部分ですが、ざっくりノギスをあててみると約70mmでした。一般的なBBは68mmですが、どうも違うようですね。

プレトレの歴史として、初期の鉄製プレトレはハンガー幅が68mmでした(*1)それがある時(アルミ製に変更になった時?)70mmに変更になったと考えられます。

アルミ製プレシジョントレッキング(プレトレ)の70mmBBはJIS規格だった

ところでハンガー幅70mmに対応するBBはイタリアン規格が大半ですが(*2)、稀にJIS規格の場合があります。私のプレトレがその稀のケースです。汗

ちなみに70mmイタリアン規格、70mmJIS規格は同じ70mmですが互換性が全くないため注意がいります。

この2つを区別する方法は、BBの右ワンのネジの切り方で判断します。正ネジならばイタリアン、逆ネジならばJISです。

私のプレトレをみてみると、BBの右ワンを緩める際、時計回りで緩んだ(=逆ネジ)のでJIS規格と判断できたというわけです。

アルミ製プレシジョントレッキング(プレトレ)の初期BBはCHIN HAUR(CH52U)70×127L

BBの判断材料として、プレトレの購入当初に付いていたBBを倉庫から出してきました。

そのBBには『CHIN HAUR(CH52U)70×127L』と記載がありますね。70mmの記載がありますので、私のプレトレのハンガー幅、シェル幅はともに70mmで確定です。

ハンガー幅70mm(JIS規格)対応のBBの問題点

ハンガー幅70mmに適合するBB(JIS規格)の問題点は、対応する製品の数がとにかく少ないことです。その解決策として、以下の3つが分かりやすいです(*3)

  • タンゲ精機とサカモトテクノが共同開発した「LN-3922C」を使用
  • フレームのハンガー幅を2mm削る
  • 左アダプター(ワン)が奥まで入るタイプを利用する

この中で1つ目の既製品「LN-3922C」を使用するというのが、最も安全ですね。ただ、軸長が127mmしかないのが難点です。

軸長127mmはママチャリのカップアンドコーンをカセット式に変更する際には使えそうですが、それ以外の軸長が欲しくなった途端に対応が難しくなります。

また、残り2つの選択肢もあるものの、削ったり、70mm以外のものをねじこんだりと穏やかではないです。

このようにハンガー幅70mmに対応するBB(JIS規格)の問題は、既製品のポン付けでは解決できないことが多いという現状を認識する必要があります。

選択肢4.68mmのBB(JIS規格)ねじ込み(非推奨)

ハンガー幅70mm問題の解決案として、先ほど引用を3個しました。

これにくわえてもう1つあげると68mm(JIS)BBを無理やりねじ込むという方法が…あるにはあります。ただし、BBの接続が不十分なので非推奨な方法です。

そう注意書きをいれつつも。2016年から2023年の間、私のプレトレにとっていた方法は実はこのやり方でした。

プレシジョントレッキング(プレトレ)にシマノBB-UN-55 122.5(D-NL)を取り付けていた

2016年から2023年の間まで使用していたBBはシマノ BB-UN-55 122.5(D-NL)です。

BB交換の経緯は、フロントギアの多段化を行ったためです。フロントギアはシマノ FC-M311 ブラック 48-38-28T 170mm ガード付きを購入しました。

ちなみにフロントギア(FC-M311)には、BBのサイズとしてLL123が推奨されています。しかし、BB-UN-55はLL123はなく、D-NL(122.5)だけだったように記憶していますのでそれを選びました(*4)

チェーンラインの話は長くなるので、以下の記事に書きました。D-NL(122.5)を選んだ理由やチェーンラインについて思うことをまとめています。 

プレトレのチェーンラインに思うこと-アイキャッチ画像
プレシジョントレッキング(プレトレ)のチェーンラインに思うこと自転車のチェーンラインについて思うことを書きました。メーカーの推奨値こそありますが私はある程度自由で良いという姿勢です。普段よく使用するギアに合わせてチェーンラインを考えるとまた違う世界が見える気がします。...
シマノBB-UN-55_D-NL(122.5)は端にストッパーがあるためハンガ幅70mmに使用すると途中で引っ掛かり不適切

少し話が反れましたが、68mm(JIS)BBをねじこむというのは、ハンガー幅70mmの解決案の3つ目に引用した『左アダプター(ワン)が奥まで入るタイプを利用する』に近いものがあります。

しかし、当時私が選んだシマノ BB-UN-55 122.5(D-NL)というBBは左右のワンの端にストッパー(写真緑部分)が取り付けられていて、本体のハンガーの奥まで入っていかない仕様でした。

つまり左ワンを締め付けても、70mmのハンガーの途中までしか入らない中途半端な状態だったということです。

プレシジョントレッキング(プレトレ)にBB-UN55を取り付けた様子

ストッパー付きのBB-UN55を、実際にプレトレに取り付けた様子です。左ワンのストッパー部分が本体に引っ掛かり、これ以上締め付けることはできません。

ハンガー内部の状態は分かりませんが、ハンガー幅68mmの自転車と比べて少なくとも2mm程度は締め付けきれていないと思われます。

この状態を良しとするかどうかは人や自転車によると思います。プレトレは、お世辞にも精度の良い自転車ではなかったこと、何かの改良を考える場合、現物合わせになることが多いことなどあり、私は様子をみつつ使用していました。

結果的にその後、大きなトラブルはなくヤビツ峠をのぼったり、北海道海岸線3000kmなどこなしました。これら経験の上で、私のプレトレには大丈夫かなと判断して、それら経緯をこのブログに掲載しました。

改めて2023年にプレトレのBB交換を考えたわけ

適切とはいえないBB事情で7、8年ほど過ごしてきましたが、2023年になってBBの交換の検討を始めたのには2つ理由があります。

1つ目は使用していたBB‐UN55の生産が終了したので、破損する前に代わりを見つけておきたかった。

2つ目は時期をみてフロントギアをシングルに戻したくて、BB(チェーンライン)の研究をしていたためです。

どちらにせよハンガー幅70mmに対応するBBが少ないのは上述の通りです。プレトレとBBが元気なうちに早めに動き出すことにしました。

プレトレのハンガー幅70mm問題の解決案

ハンガー幅70mmのプレトレのBB問題の解決へ

ここからは改めてハンガー幅70mmのプレトレにはまるBBを考えていきます。70mmのBB探しは以下の通りでしたね(*3再引用)

  • タンゲ精機とサカモトテクノが共同開発した「LN-3922C」を使用
  • フレームのハンガー幅を2mm削る
  • 左アダプター(ワン)が奥まで入るタイプを利用する

LN-3922Cは軸長が127mmのみなので今回は却下。自転車本体を削るのは最終手段。となると、3つ目の左アダプター(ワン)が奥まで入るタイプを探すことになります。

シマノBB-UN300_122.5mm(LL123)を購入した

そこで今回購入したのはシマノ ボトムブラケット BB-UN300 122.5mm(LL123) です。

今まで使用していたBB-UN55の後継にあたるようです。ワンの部分がアルミ製と変わらないのは嬉しいところ。

新旧BBの左ワンの形状の違い(BB-UN55とBB-UN300)

新旧BBの左のワンを並べてみました。旧BBはワンの端にストッパーがあるのに対して、新BBのBB-UN300はストッパーがありません。

この仕様ならばハンガーに引っ掛かることなく、奥まで締め付けることができそうですね。

BB-UN300にグリスを塗布する場所についての疑問

プレトレに取り付ける準備として、BBにプレミアムグリスを塗りました。

ふとした疑問なのですが、BB中央の本体(黒いところ)の素材って何なんでしょうか?

スクエアBBのグリス付けの方法として、SHIMANOディーラーマニュアルには『本体およびアダプターがアルミニウムまたはスチールの場合は本体およびアダプターにグリス塗布してください(プラスチックはNG)』とあります(*5)。

ところが、BB-UN300の公式製品ページにはアダプター(ワン)はアルミ二ウムの記載があるものの(*6)、本体の素材情報がないんですよね。

海外のサイトに本体部分(middle piece)はスチールとの記載が(*7)、また楽天などで商品検索すると店によってはスチールとあるので恐らくスチールなのかな。

ということで、BB-UN55同様、本体部分にもグリスを塗る判断をしました。

シマノBB-UN300_122.5mm(LL123)をハンガ幅70mmのプレシジョントレッキング(プレトレ)に取り付けた際の左ワンの様子

BB-UN300をプレトレに取り付けました。問題の左ワンは、プレトレ本体に締め付けていくことでハンガーの内部に入り込んでいきました。

この状態はBBがプレトレ本体に引っ掛かっていた当初の悩みを思えば、良い結果を生んだと思います。

ただ、本来の状態と比べると、左ワンがハンガー内側に2mm程度は入り込んでいます。そのため左足のペダルの位置が内側にずれるおそれがあります。

これは別問題として認識しておく必要がありそうです。

ハンガ幅70mmのプレシジョントレッキング(プレトレ)にBB-UN300 122.5mm(LL123)を取り付けたところ左のペダルが内側に寄った

その後、左側のペダルを取り付けて試しにクランクを回してみたところ、センタースタンドとぶつかることに気がつきました。

今回の交換にあたってBB以外は何も変えていませんから、これは左ワンが2mm程度引っ込んだ影響のようです。とりあえずセンタースタンドの位置をずらして、クランクが適切に回るようにしました。

以上でとりあえずプレトレが動く状態になりました。私はシビアな調整を必要としない乗り方(街乗り、旅用途)なので、大きな問題でも起きない限りは良しとしたいです。

ただ、軸長の変更や先ほどの左のペダルの位置ズレなど、何かしらの問題の発生を想定して、BBの選定についてもう少し考えてみたいと思います。

おまけ.BBのサイズ変更が必要になった時のために

BB-UN300は通常、E、Kタイプと3種類存在する

今回、BB-UN300の122.5mm(LL123)をハンガ幅70mmのプレトレに無理やり押し込む形で一応の決着をみました。

ただ、左側のペダルが数mm内側に寄ったため、ペダリングに違和感を感じる可能性があります。その場合の代案を先に考えておこうと思います。

真っ先に候補としてあがるのは他の軸長サイズを試すことですが、BB-UN300には通常タイプのほかにEタイプ、Kタイプと呼ばれるものが存在するのでそれらも検討の余地があります。

ちなみにEタイプはBBと共締めするタイプのディレイラーハンガー対応品用、Kタイプはチェーンケース対応品です(*8)

先ほど提示した海外のサイトに3種類の違いが写真付きで掲載されています(*7を再引用)

ぱっと見、通常タイプと比べてE、Kタイプの方が本体部分(黒いところ)が長いので、通常品と比べて違いが出せそうです。ただ、右軸も伸びてチェーンラインが狂う可能性もあります。

シマノのBBはワンや本体等の詳細な数値の違いは出ていないので、ぱっと見だけでは判断が難しいですね。また過去の話として、BBの軸は左右均等に突き出すわけではないという話もあって(*9)単純にサイズ変更をすれば良いという訳ではないかもしれません。

BBは現物合わせなんてよく聞きますが、こういったBBの事情もありそうですね。

以上より、BBの交換は軸長変更以外にも、同軸長のタイプ違いという選択肢があります。ただし、詳細な数値は出ていないのではっきりとした回答は出せず、各自転車や各々が求める事情に対して現物合わせが必要な感じが否めません。

BB-UN300(新)とBB-UN55(旧)に思うこと

新旧BBを比べてみて(BB-UN55とBB-UN300)

最後に私が使用している新旧BBについて思うことを書いて終わりにします。

新BB(BB-UN300)を観察していて、旧BB(BB-UN55)よりも消耗品感が増したかなと感じました。

それはBB-UN300中央の黒い部分(本体)のつくりからです。上述しましたが、旧BBはすべてアルミ製に対して、新BBの本体素材は不明(スチール?)です。

これら2つを触った感じ、旧BBの方が剛性があるような感じはします。ただ、今までの実績からひいき目にみているところはありますね。

それともう1点。新BBは左ワンをプレトレ本体に対して数ミリ押し込む形を取りました。その影響で、自転車内に水が浸入しやすくなったのではという点を気にしています。

幸いなことにBB-UN300(新)はBB-UN55(旧)と比べて、ワンのネジ切り部分が長いです。グリスをたっぷり塗り込めば大丈夫だろうと思っていますが、メンテや観察の頻度は以前よりも上げた方がいいかなと考えています。

まとめ

以上、アルミ製プレシジョントレッキングのハンガー幅70mm問題の認識と解決案でした。

今回の解決案が適切かと問われると微妙なところですが、選択できる商品が少ない中での私なりの落としどころかなと考えています。70mmハンガー幅の問題は完璧な解決を目指すことは難しいです。

旧BBの生産終了や、シングルギア化構想など次に進む時期でしたので、その第一歩としては悪くないかなという認識です。

それと本記事とは関係ないのですが、少し反省したことがあります。

当ブログではハンガ幅70mmの自転車(プレトレ)に対してシェル幅68mmのBBを押し込む内容を長年掲載していました。

私の経験上は大丈夫でしたが、その安全性を考えると文章の書き方はもう少し慎重であるべきだったかなと感じました。

このブログの基本姿勢は読んだうえで自分で考えることですが、「とりあえず真似すればいいや」という人も一定数いるとは思います。

当時はそこまで配慮が至りませんでしたが、今になって当時の文章を読むと注意の入れ方や表現方法が甘いなと感じる時があります。その点、今後はより気をつけていきたいと思います。

参考にしたサイトや文献

*1 走るんですか? | ママチャリなのか?プレトレ購入記
*2 サイクルベースあさひ | ボトムブラケットの種類
*3 自転車と介護な生活 | ママチャリのカートリッジBB化について
*4 SHIMANO | BB-UN55(製品情報)
*5 SHIMANO | ディーラーマニュアル(クランクセット)P18 スクエアタイプ
*6 SHIMANO | BB-UN300(製品情報)
*7 Bicycles | Information regarding UN300 and UN100 (new Shimano Bottom Brackets)
*8 セレニカ~グラントリ (UCI/2.HC) | シマノのBB仕様の複雑さ,またはサイクルベースあさひの限界
*9 metroに乗って! | BB軸長、これで解決

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