内装3段ママチャリ(シティサイクル)のチェーン交換についてまとめました。
ママチャリは年数が経過するとともにチェーンが伸びてしまい、チェーンを保護するケースと接触、耳障りな異音を発生させることがあります。
自転車を漕いでいて「カランカラン」「ガコンガコン」と接触音がした経験のある方もいるのではないでしょうか。
チェーンの伸びは後輪近くにあるチェーン引きと呼ばれるネジ(写真ピンク丸)を左右1本ずつ締め付けることでチェーンの伸びを矯正することができます。
しかしネジの調整幅には限界があり”ある程度”です。
ネジを締めきってもなお異音がする場合や、何年も使用しサビで劣化したチェーンは新品と交換してあげることで本来の性能を取り戻します。
そこで今回は内装三段でフルチェーンカバーのかかったママチャリのチェーン交換について私なりの方法を記事にしました。
こんな方におすすめ
- 走行中にチェーンの接触音(カランカランなど)がうるさい
- 内装ギア自転車のチェーンの交換がしたい
- チェーンの交換方法が分からない(交換・調整方法)
※使用した道具・工具は記事の最後で紹介しています。
チェーン交換のための観察と下準備
まず今回チェーン交換を行う自転車の写真です。以前ハブダイナモ付きホイールとタイヤの交換をしたママチャリ(ブリヂストン スケッチブック)です。
クランク、後輪周辺を左右から観察してみると、全体にカバーがかけられていることが確認できます。全てが覆われているこのタイプをフルチェーンカバー、チェーンカバー(フルカバータイプ)、フルチェーンガードなどといいます。
そしてこの状態のままではチェーン交換をすることができないので、カバーを取り外す必要があります。
「このカバーを取り払わないと交換できないのか…」と思われたかもしれませんが、安心して下さい。全て取り外す必要はないんですよ。
フルチェーンカバーは複数箇所で取り外しが可能
全て取り外す必要がないというのも、フルチェーンカバーには大きく分けて3カ所カバーを取り外す場所があります。その中でチェーン交換・調整に必要な部分は簡単な2カ所を触れば済むからです。
ちなみにフルチェーンカバーを全て取り外すときはクランク周辺のボトムブラケットを交換・掃除するときです。ほとんどの方はそこまでされないと思いますが、どんなものか興味がある方は以下の記事をどうぞ。
チェーン交換にあたって、取り外しが必要なカバーの箇所は以下の2カ所になります。
チェーンカバー取り外し箇所 その1:後輪の軸の近く
まず後輪部分に1つあります。ピンク丸部分のネジを緩めてカバーを取り外すとチェーンの一部が現れます。
ちなみに注油をするときは、この部分だけ開けば簡単に行うことができますよ◎
チェーンカバー取り外し箇所 その2:ペダル(クランク)付近
次にペダル(クランク)付近です。ピンクで丸した部分にネジがあります。
カバーが固い場合はマイナスドライバーなどを突っ込むと外しやすいですね。
取り外してみるとクランクの歯に乗っかったチェーンが現れます。カバーのネジはなくさないようにしまっておいて下さいね。
以上のようにチェーンを交換する場合は上記2カ所を開けるだけでOKです。
チェーン交換作業(1)後輪を緩める
異なる左右の形状を理解する
チェーン交換やチェーン引きの操作する際は後輪のナットを緩める必要があります。ところが車輪左右の部品構成が異なるので少し分かりづらい。初めて触る方はその点を意識しましょう。
―車体右側(チェーンカバー側)はベルクランプカバーを外す
ナットの緩め方ですが、車体右側(チェーンカバー側)はまず変速機カバー(ベルクランプカバー)を取り外します。カバーを取り外すと後輪車軸をとめているナットが現れるのでこれを緩めます。今回はナットを外さず緩めるだけでOKです。
私の車体は15mmのレンチが必要だったので、所持しているホーザン ペダルレンチを使用しました(後にホーザンラチェットレンチ C-160を入手しています。これが快適◎)
―車体左側(チェーンカバー反対側)は簡単
車体左側(チェーンカバー反対側)は変速機がないのでナット(写真の番号1)がむき出しなので、このナットを緩めるところまで先ほどと同じです。
これに加えてブレーキユニットの固定ボルト(写真番号2)を緩めます。この2つを緩めないと後輪がうまく動きません。
ちなみに2のボルトは裏側がナットなので、10mm コンビネーションスパナなどで抑えながら緩めると簡単です◎
―チェーン引きを緩める前に記録を残しておこう
次にチェーン引きのネジを緩めます。
チェーン引きのネジを触る前に、元々締めこんでいたネジの量を定規やノギスで計測しておくと元に戻しやすいです。もしくはネジの締め付け具合を写真に残しておくのもいいですね。
作業にあたって初めての方はネジの緩める量を左右均等にすると分かりやすいかな。慣れてくるとチェーンのたるみ具合でパパッと勘で調整できるようになります。
チェーン引き周辺は色んなパーツが入り組んでいる箇所なので、10mmのナットドライバーなどを所持していると快適に作業をすることができます。
ある程度緩めたらタイヤを軽く蹴るなり叩くなりすると、チェーン引きを緩めた分タイヤの位置がずれてチェーンが緩みます。
チェーン交換作業(2)チェーンを外す
いよいよチェーンを外していきます。外し方は2通りで(1)ミッシングリンクを取り外す、(2)チェーン切りで切断です。
―チェーンリングからチェーンを外す(落とす)
どちらの方法をとるにせよ、まずはチェーンをチェーンリングから外します。クランク側は竹串やドライバー等をチェーンに挿し込むと簡単に外すことができます。
チェーンリングからチェーンが外れれば、後輪側のチェーンも自動的にたるみ簡単に外せます。チェーンリングから外れたらチェーンを外す作業に移ります。
チェーンを切る方法(1)ミッシングリンクを外す
チェーンを切る方法1つ目はミッシングリンクの取り外し方です。
ぐるりと一周しているチェーンをよく観察してみると1つだけジョイントがある部分があります。このジョイントをミッシングリンクといいまして、この繋ぎ目をラジオペンチなどで外すというやり方です。
チェーンを頻繁に着脱する、何度も使用したいというときに有効な方法ですね。スポーツ自転車でよくみかけます。
チェーンを切る方法(2)チェーン切りで切断する
2つ目の方法はチェーン切りと呼ばれる工具で、チェーンのピンを1つ抜いてしまう方法です。工具でチェーンを挟みレバーをクルクル回すだけなので簡単です。
この方法の注意点として、ピンは一度抜いてしまうと原則もとには戻せません。ピンが完全に抜けない手前で止めて状態を維持するという方法もありますが、そうならば慣れないうちはミッシングリンクを利用した方が安全な気がします。
ママチャリの場合はスプロケットを交換しない限り、何度も付けたり外したりって場面はなくただ切断するだけだと思うので、あまり難しく考える必要はないと思います。どちらでも好きな方法でOKですよ。
ちなみにスプロケット交換にあたってチェーンの長さを変えたことがあります。以下の記事にまとめましたので興味がある方はあわせてご覧下さい。
どこかしらのチェーンのピンを引き抜きチェーンカバーから取り除きます。
軍手を見て分かる通り、オイルで相当汚れますから軍手、ゴム手袋があると作業がはかどりますよ。
―チェーンリングの掃除もついでに行う
チェーンを外したらチェーンリングもついでに洗浄しておくといいですよ。私は布をケースの底に敷いて、汚れていた歯先にKURE パーツクリーナーを吹きつけました。
チェーン交換作業(3)チェーン取り付け方法
用意するチェーンのこと
自転車用品を扱うお店で入手できます。もちろんネットでも入手可能です。
変速機がない、もしくは内装変速機の自転車は「一般車用」や「1/2×1/8 14~28型一般車用」と記載されたチェーンを購入して下さい。
※外装変速機の場合は外装多段ギア用チェーンのチェーンを用意して下さい。変速機なし・内装変速機と外装変速機の自転車のチェーンには互換性がありませんので間違えて購入しないようにご注意ください。
チェーンの長さを合わせる(チェーン切り)
早速新しいチェーンの取り付け!といきたいところですが、購入したチェーンは古いチェーンよりも長い状態です。写真上が古いチェーンで下が新しいチェーンです。
そこでチェーン切り工具を使用して、長い分のチェーンを取り除く作業を行います。購入したチェーンは104リンク、古いチェーンは94リンクでしたので10リンク分取り除くことになります。
チェーンの数を数えなくても、新旧並べて古いチェーンと同じ長さのコマを切る方法もあります(チェーンが伸びていることもあるので観察は入りますが)
ちなみにミッシングリンクを足すとチェーンが+1足されるので注意して下さい。
チェーンをフルチェーンカバー内部に通す
チェーンのコマ数を合わせたところで、実際に自転車に取り付けていきます。取り付け方はチェーンを針金のようなものに通して渡したり、気合で押し込んだり(笑)と様々です。
私は自転車を横倒しにしてからまずチェーンをクランク側にくぐらせ、その後前輪側を持ち上げて自転車を振っています。
要するに重力の力を利用して、チェーンを後方まですべらすという乱暴な方法です(^^;)
ミッシングリンクを繋ぐ
チェーンの両端が車輪後方まで落ちてきたら、ミッシングリンクで繋ぎます。
ここで注意したいのがミッシングリンク(とめ具)の向きです。Uの字の底の部分が進行方向に向くように繋げて下さいね。逆向きに取り付けると外れる可能性があり大変危険です。
ミッシングリンクはペンチ類でピンと金具のUの字の底を同時に押してやると簡単に取り付けることができます。
一般車チェーンはスポーツ自転車用と比べると繋ぎやすいかな(柔らかい?)という印象でした。
無事に繋ぐことができたら、クランク部分からチェーンリングにチェーンをかけます。この時点でクランクとチェーンが連動するので、最低限機能するようになるはずです。
いや~しかし新品チェーンは綺麗ですねー!
チェーン交換作業(4)チェーンの調整方法
チェーンが張れたら、最後にチェーン引きを使用した調整を行っていきます。基本は分解前のネジの量に戻すが基本です。
前半は実際の調整方法、後半はチェーン引きの仕組みについてまとめます。
チェーン引きを使用したチェーンの調整方法
チェーン引きはネジを締めつければチェーンが張られ、ネジを緩めれば同様にチェーンも緩む簡単な構造です。
写真やノギス、定規等の数値を参考に締めつけて、元の状態に戻してやれば基本は大丈夫でしょう。
この調整をしないとチェーンがたるんだままでチェーンとチェーンカバーが接触し音鳴りの原因となります。逆にきつく締めすぎるとクランクがスムーズに回らなかったりします。左右のナットを均等に回すことが調整のコツになります。
片側だけ締めつけると後輪の向きが曲り、まっすぐでなくなるため気をつけて下さい。
ペダルを回したり、ブレーキをかけてみたりして音鳴りなどの違和感がなければ調整は終了です。車軸、ブレーキユニットのナットを締めて変速機、チェーンカバーを取り付けたら完成です。
- 写真や数値を事前に残しておき、その通りに再現する
- 迷ったときは左右対称にチェーン引きを締めつけて様子をみる
チェーン引きの仕組み
さて、チェーン引きの仕組みについて考えるために、チェーン引きを締め付ける前の状態に遡りたいと思います。
ようやくチェーンがかかって完成だ!と思いきや、クランクを手で回してみるとガコンガコンという音がするのではないでしょうか?
これはチェーンたまだたるんでいる状態のためにフルチェーンカバーに接触して音鳴りを発生させているために起きる問題です。
チェーン引きを使用せずたるんだ状態を写真にイメージ図を書き込みました。この状態で自転車を走らせ力が加わるとチェーンが張ります。そしてクランクを止め漕がなくなるとチェーンが緩みチェーンカバーに接触し、音が鳴るとそんなイメージです。
チェーン引きを締めつけると後輪が後ろに引っ張られます。このことでチェーンも同時に引っ張られてたるみがなくなっていくので、力の入れ具合に関係なくチェーンカバーとの接触がなくなるという訳です。
―左右のネジを均等に締める不思議
ところでチェーン引きは何故同じ量程度回して調整するのでしょうか。それはチェーン引きに対する力の加わり方を考えると理解がしやすいです。
先ほどチェーン引きは締め付けると後輪が後ろに引っ張られると書きました。
チェーン引きは締めつけた力の分だけタイヤを後方へ引っ張るための部品です。つまり極端に片方だけ締め付けるのはまっすぐ取り付けていたタイヤが締め付けた側に矯正され曲がってしまい、タイヤ取り付けバランスの悪化を招くと言い換えることができます。
ちなみにタイヤがまっすぐかどうかは写真の隙間で確認をすると分かりやすいです。左右の隙間が同じかどうかを指をあててみてチェックしましょう。
チェーン引きを締めつける前のタイヤの状態がまっすぐであるのならば、同じ量の力(=同じ分だけネジを締める)で締め付ければ左右どちらかに曲がる心配はありません。
そのためチェーン引きの調整は以前の状態を記憶しておく、もしくは左右チェーン引きの締めつける量を同じにすると表現するのだと思います。
ただ、長年の使用、ちょっとした手違いからどうしても真っ直ぐでないと感じる場面が出てくるはずです。そんなとき初めて片方のネジだけを回すという作業に入ることになります。その感覚が分からないときは左右同程度、もしくは以前の通りがセオリーだと思います。
左右チェーン引きの締め付けるコツは簡単で、「タイヤが曲がっているなと感じる反対側のネジを締め付けてやる」ことです。
例えばタイヤが左に曲がっているなと思えば右側(チェーン側)のチェーン引きを、右に曲がっているなと思えば左側(反チェーン側)のネジを締めつけます。
ただし締めつけすぎるとチェーンの回転が鈍くなることがあるので、少しずつ調整を心がけます。最終的な目標はチェーンを指やドライバーで突っついて少したるむ程度を目指します。
私はチェーン引きの調整の際に基本的に締め付ける方向のみネジを回し、チェーンがきつくなってしまったら全て緩めてやり直しています。ディレイラーの調整に近い感覚です。
タイヤの左右のバランスを保ちつつ、チェーンを締めつけすぎず、緩すぎずを意識して作業しましょう。
- タイヤの取り付けが曲がっていないか確認する
- タイヤが曲がっている方向と反対のチェーン引きで調整する
- チェーンを締めつけすぎると漕ぎ心地が悪くなるので注意する
- チェーンは締めつけすぎず、緩すぎずが大切
使用した道具とまとめ
まず今回の作業で使用する道具・工具についてまとめます。
ドライバー
15mmレンチ(モンキーレンチでも代用可。私はペダルレンチを流用しています)
ラジオペンチ
10mmナットドライバー
チェーンオイル
チェーンクリーナー
※ナット類のサイズは自転車によって稀に異なることがあるのでご注意下さい。
まとめ
以上、内装3段ママチャリのチェーン交換についてでした。
ママチャリの特徴の1つにチェーン引きという部品の存在があげられます。この部品の仕組みを理解できると、ある程度のチェーンのたるみやチェーン交換を行うことができるようになるのでママチャリ整備の奥行きがグッと広がります。
作業はカバーの一部を開いて行うので、ほんのちょっとだけ手先の器用さを求められるのかな…?最初は勇気が入りますが、ママチャリ(シティサイクル)の構造を垣間見ることができて楽しいですよ。
しかし、工具を何も所持していない状態からはじめようとすると尻込みするかもしれませんね。また、スポーツ自転車を触ったことがある方でも、ママチャリは面倒って方も結構いると思います。実際カバーのなかにチェーンを通すのは面倒だし…(^^;)
人を選ぶ作業かと思いますが、ママチャリの構造に興味のある方、物を大事にされたい方は挑戦してみる価値ありだと思います。
クロスカブ本体の改良
本体(JA45)購入 / 外装カバーの着脱 / リアキャリアの拡張 / リアボックスの追加【リアキャリア延長による加工も】 / ホムセン箱の改良(ボルトやフックの増設) / マルチマウントバーの増設 / スロットルアシスト / ナンバープレートに荷掛けフックを追加 / 2ポートUSB電源 / バーエンド着脱とスロットルパイプの交換 / グリップヒーター取り付け / サイドバッグサポート / パニアバッグ取り付け / 右サイドスタンド / エアバルブ角度の変更 / テールランプのLED化 / エンジンオイルの交換 /
クロスカブまわりの道具
身に着けるもの(ヘルメット、ジャケット、手袋etc…)
ヘルメット選び【SHOEI Z7】 (ヘルメット選び方) / グローブ3種【夏・春秋・冬】 / バイクジャケット / 脊髄プロテクターの追加 / ニーガードプロテクター / トレッキングシューズ / レインウェア