7年ほど使用している自転車ペダルのメンテナンスとして、分解、グリスアップを行いました。
先日、プレシジョントレッキング(以下プレトレ)という自転車のBB交換を行ったのですが、BB交換後もゴリゴリと音がして引っ掛かるような感じがしていました。
最初はBBが取り付け方が悪いのかと疑ったのですが、異音の原因はペダルでした。
2016年にプレトレに取り付けて以来、ペダルはろくなメンテナンスをしていなかったので、今回は分解、清掃、グリスアップと総点検を行うことにしました。
自転車ペダルのメンテナンス(分解、グリスアップ)
自転車からペダルを取り外す
私のプレトレに取り付けているペダルはVP ONE アルミペダル(VP-349A)グリーンです。2016年に購入してからずっと行動を共にしています。見た目はもうボロボロですね。
調子のよいペダルは少し回しただけでもくるくるっと抵抗少なく回るものですが、このペダルはちっとも回らず。しかも回らないどころか、ゴリゴリと変な音がしています。
どうも汚れの付着やグリス切れなど、軸の中は整備不良な状態のようです。
そこでペダルを分解して整備をしていきます。
まずは左右のペダルを外します。ペダルは走行中の脱落防止のために進行方向と逆向きにレンチを入れると外すことができます。
外し方の詳細は以下の記事にあります。左足側が逆ネジなので紛らわしいですね。
左右のペダルを外しました。これらを分解していきますが、片方ずつ分解、組み上げの作業しようと思います。
どちらか1つを完成品として残しておけば迷った時も安心です。
ペダルの分解とメンテナンス作業の方法
VP ONE アルミペダル(VP-349A)は、ペダルの外枠(緑色の箇所)を細かく分解することができます。
軸の中をいじる時は外枠が邪魔になるので、外せるタイプのペダルの方が作業が楽です。六角棒レンチの3mmを使用して4つのネジを外していきました。
外枠に付いた4つのネジを外しました。
この外枠と軸を納める銀色の部品は取り付け時に向きがあるようなので注意します。
軸の入った銀色の部品をさらに細かく分解していきます。
部品の先端部分にゴムのキャップがあるので、先端の細いマイナスドライバー系の工具を突っ込んで外します。
ただ、私のペダルは7年近く使用したせいか、ゴムが劣化で少し崩れてきてしまいました。多少は仕方ないものの、なるべく崩れないように慎重に作業しました。
キャップを外すと軸をとめている12mmのナットが確認できました。内部を観察すると、グリスが残っていることが分かりました。
ただ、グリスの色が部位によって異なっていて、ナット周辺は黄色く恐らく正常ですが、軸受けのボール周辺は茶色くドロドロしていて汚れを巻き込んだ状態でした。
ペダルをとめている12mmのナットを外していきます。
ペダルの構造上12mmのナットをまわすと軸も一緒に回ってしまいます。ですので軸の根本部分をモンキーレンチで挟んで動かないようにしておき、その上で先端側に12mmソケットレンチを入れてナットを外しました。
ここから写真の掲載順が前後して、まず先に分解写真を掲載します。ひとつ前の工程で外した12mmのナットは写真の青い矢印のものです。
次の作業としてワッシャーをラジオペンチやピンセットなどで取り出して、14mmのナットを先ほどと同様ソケットレンチで外します。
ところが私の場合、ワッシャーと14mmのナット(写真ピンク矢印)が固着してしまい、ソケットレンチを使用することができませんでした。
そこで発想を変えて、先端側からではなく根本側から外すことにしました。
先端側のワッシャーと14mmナットをピンセットで同時に掴んで固定してしまい、先ほどモンキーレンチで挟んでいた根本側のナットを回しました。
14mmのナットは軸受けのベアリングを止めている部品だったので、そこまで固くなかったのも幸いして無事に外すことができました。
このように先端側、根本側とどちらからでも外すことは可能です。
ただ、根本側から外す場合は、部品の紛失に注意しましょう。軸の大半の部品は根本側から出てくるので、軸受けのボールベアリング(玉)が飛び出ることがあります。
これが軸を引き抜いた際の写真です。軸にグリスが残った状態なので、それにボールベアリングが引っ付いたりしています。
このボールベアリングは紛失すると、再度組み上げることが出来なくなるので注意して下さい。紛失防止で広い机で作業することを強くおすすめします。
軸を引き抜いた後の根本側の写真です。グリスが茶色く変色してしまって汚いです。
ラジオペンチやピンセット等の先の細い工具でボールベアリングを丁寧に取り除いたら、パーツクリーナーを使って清掃しました。
先端(キャップ)側の写真です。こちらの方が汚れが目立ちますね。ナットやワッシャーなど組みつける部品が多いからかな…?
グリスの変色以外にも砂?のような固いものがちらほらと見受けられました。こういった汚れがたまると、ペダルを回した時に「ゴリゴリ」といった異音が出るのでしょうね。
ボールベアリングは小さい容器にまとめておくと失くしません。まとめた際に数がいくつあるか数えておくといいですね(私の場合は片側13個の計26個でした)
この容器にパーツクリーナーを噴射して、その中を転がしているとボールベアリングが綺麗になります。
部品類が綺麗になったらペダルを組み上げていきます。
まずは軸を入れる根本側からつくっていきます。ボールベアリングを納める部分にリチウムグリスを塗りつけて、ボールベアリング13個を並べていきました。
取り出した時と同様、ピンセットがあると作業がしやすいです。
ペダルの組み上げの工程は、グリスの選択、玉押し調整などカップアンドコーン式ボトムブラケットの分解・グリスアップと作業方法が似ています。
下記の記事もあわせてご覧になると理解が深まると思います。
根本側のボールベアリングを配置したら、ペダルの軸を元に戻していきます。
綺麗にした軸にも先ほどと同様にリチウムグリスを塗り、本体に戻しました。
軸の先端側にもリチウムグリスをたっぷりと塗り、ボールベアリング13個を戻しました。先端側の方が根本側と比べて若干深めの構造なので、ピンセットがあると作業しやすいです。
ボールベアリングを戻したら、14mmナット、ワッシャー、12mmナットの順に戻していきます。これと同時に回転の調整をするのでその方法は次で。
ペダルがくるくるっと綺麗に回るためには、ボールベアリングの締め付けの調整(玉押し調整)が必要です。感覚的な作業なので文章にするのは難しいのですが…。
- 14mmナットを強めに締め付けて、軸が「ゴリゴリ」いう感覚を覚える
- 14mmナットを緩めに締め付けて、緩すぎる感覚を覚える
- 1と2の中間くらいの感覚で締め付ける(気持ち緩め)
- ワッシャーと12mmナットを締め付ける
(1)と(2)は14mmナットの締めすぎ、締めなさすぎの感覚をまず覚えます。その上で一度リセットして(3)を行います。ゴリゴリいわず、軸がぶれないくらいの感覚です。ただ、ここで完璧にする必要はありません。
それは最後に(4)で12mmのナットを締め付けると(3)の状態から若干締め付けられるからです。なので(3)+(4)で完璧な締め付けになるように作業するとうまくいきます。
(3)で調整を完璧にしすぎると(4)で締め付けた際に「あれ、ゴリゴリいうな…」というのはあるあるです。玉押し調整はこの感覚を覚えるまでが大変です。
ペダルの軸の組み上げ、調整がうまくいったら外枠を取り付けていきます。
今回ネジを取り外す際、若干固着気味だったのでプレミアムグリスを塗りつつ戻しました。
組み上げることが出来たら、もう一方のペダルと見比べて問題がないか確認します。
内部の清掃、メンテナンスがしっかりと出来ると、この時点でくるくるっとほとんど抵抗なく回るので感動します。未整備のもう片方と比べてみてほしいです。
その後、もう片方も整備して、左右のペダルを自転車に取り付けたら終了です。
まとめ
以上、回りにくくなった自転車ペダルのグリスアップでした。
ゴリゴリいっていた異音が解消されてよかったです。今まで1回転もしなかったペダルでしたが新品のように回るので気持ちが良いですね。
全体的に難しい作業ではないのですが、ボールベアリングの紛失と玉押し調整だけ注意が必要です。
やや面倒な玉押し調整は、ホイールのハブや、カップアンドコーンBBでも同じことをします。これら調整は失敗すると自転車的にダメージが大きいですが、ペダルはうまくいかなかったら最悪買い換えればOKです。
そう思うと、初めての玉押し調整に挑戦するならば、ペダルはもってこいの材料です。慣れるまでは大変ですが、やらないと覚えませんからね◎
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