『北海道海岸線一周(11) 道東編2 -本土最東端到達!納沙布岬とポニーと-』
ー前回までのあらすじ(前回は【道東編2】根室まで続く坂道地獄に苦しめられて【霧多布→根室】)
霧多布岬から根室まで進みました。
出発前に霧が立ち込める朝の霧多布岬を散歩します。灯台や現地の草花などを見てまわりました。
根室までの道は、北太平洋シーサイドラインが引き続き襲いかかります。激しい坂道、緩急をつけたアップダウンの繰り返しに相変わらず苦戦を強いられます。
道央で痛めた右ひざに少しずつダメージが蓄積され、根室手前でとうとう痛み始めました。それでも何とか根室の町に到着し、初めての経験としてゲストハウスに宿泊することに――
北海道11日目…日本の本土最東端へ行こう!
悪夢再び、痛みは起床前に気がついた
朝になり、ゲストハウスTOMAYAにて起床しました。しかし、布団から体を起こす前に分かりました。「あ、これは右ひざ駄目だな」って。
立ち上がる前からズキンズキンと傷んでいるので、これはどうするかなと判断に困ります。痛みとしては道央の大樹町で助けてもらった時より酷い状態かもしれません。
でも、どんなに困ったことがあってもメンタルを根こそぎやられるわけにはいきません。まずは全ての源、朝ご飯をしっかり食べます。これが基本です。
ご飯食べながら今日自転車に乗るか、乗らないかを考えました。
長時間は恐らく無理でしょう。ただ、今日は根室の少し先にある日本最東端の納沙布岬に行って根室の街に戻ってくるだけとすれば40km程度、そんなに距離はありません。
どの程度足が痛み、使える状態を知るために納沙布岬を目指すことにしました。
日本の本土最東端の地、納沙布岬(のさっぷ)へ
根室から納沙布岬に行くにはルートが2つあります。まず1つ目が太平洋側を通る道、もう1つはオホーツク海側を通る道です。
私は行きは太平洋側、帰りはオホーツク海側を通ることを選びました。
太平洋側を通るということは、北太平洋シーサイドラインを走り、納沙布岬にて完結させるということです。私のひざを窮地に追い込んでくれた忌まわしき道は私の手で早々に葬り去ります。笑
納沙布岬からの帰りはオホーツク海の海岸線を走ることになります。太平洋側を攻略して、また新しい世界が開けそうですね。
さて、根室から納沙布岬までだいたい20km程度の距離なのですが、根室の町を出発するとすぐに人気がなくなり自然が多くなってきます。
この花はなんだろう…?ツリガネニンジンとも違うような…。
また調べて分かり次第、追記しますね。
根室の町に入る前あたりから感じていたのですが、根室周辺は北方領土が近いので領土問題の色が強く出ています。
この問題は決して他人事ではなく、全国民が考えないといけません。私自身もこの問題を認知はしています。でも、関東で生活する私はここで暮らす人と同じくらい考えているとはいえないです。
現地の方と何人もお話をしましたが、危機感と覚悟の違いを見せつけられましたね。
納沙布岬に向かいながらを走っているとき、私は私が生まれ育った地元のことを愛せているだろうか、きちんと知っているだろうか、そんなことを自問自答していました。
多分ね、何も分かっちゃいないんです。東京帰ったら勉強だな。
最東端祭りのはじまりだー!納沙布岬周辺
さて、今回は本土最東端の場所に向かっていますが、日本の最〇端と呼ばれる場所は別の意味で活気づいています。
それは各商店や建物がこぞって『うちも最東端の〇〇だ!』という感じの看板を掲げているからで、そういうのを見るのも結構楽しかったりしますね。
私の目に入ってものをいくつか紹介してみます。
まず現れましたのは、珸瑤瑁郵便局(ごようまいゆうびんきょく)です。
郵便局はお堅いイメージ(民営化前?)がありますが、遊び心があって良いですね。
もう少し走ると、本土最東端のお店も現れました。「おみせやさんいたがき」さんです。
ここには『本土最東端限定ガラナ』が売られているそうですよ。個人商店でガラナの限定品を扱っているというのは驚きました。ガラナが好きな人はぜひぜひ。
ちなみにお店の全体風景はこのような感じでした。
お店自体には本土最東端系装飾はありませんでした。
最果て看板シリーズを楽しみつつ、さらに道を勧めると看板(碑?)のようなものがありました。
「朝日にいちばん近い街 根室」
納沙布岬は本土最東端の地ですから、本土では朝日の入りが(一番?)早いということでしょうか。素敵なキャッチフレーズですね。
本土最東端の納沙布岬に到着
納沙布岬が見えてきた!
納沙布岬は”岬”とついているので、例によって坂道地獄を想定していたのですが、意外と平坦な道が続きました。それと今までとは違って民家が多い印象です。
北海道の道を走っていると人里離れて自然豊かな道になることが多々あります。そんなとき段々心細くなって「本当にこの道で大丈夫なのだろうか」なんて気になるものですが、今回はその心配がなさそう。
右ひざの不安もあったので、心配は少ないに越したことはないですね。
遠くに望郷の塔オーロラタワーが見えてきました。納沙布岬はその周辺なので、目的地がすぐそこであることが分かります。
ただ、自転車旅は目標物が見えてから到着するまでにもう一苦労あるんですよね。対象物が大きいほど、なかなか近づいてくれません。
ご多分に漏れず今回も時間を要したが(笑)無事に納沙布岬に到着しました。
オーロラタワーばかりが目に留まっていましたが、巨大なアーチが出迎えてくれます。
アーチ周辺を少し散策すると、最東端を証明する碑がありました。ここは右に倣えで写真撮影(笑)でも、こういう記念碑の前で写真を撮ると到達した感は出ますね。
というわけで、日本(本土)最東端の地、納沙布岬を攻略しました。
この時点で結構な達成感があるのですが、北海道の海岸線一周想定だとまだ全体量の1/4程度。…あんまり先のこと考えない方がいいかな。笑
しかし、自転車(プレシジョントレッキング)もよく耐えてると思います。元々25,000円程度のママチャリまがいな自転車ですからね。自分の命、引き続き預けます。
納沙布岬周辺を散策する
納沙布岬にお土産屋さんがあるので、そこに自転車を置かせてもらいました。
お土産屋さんで納沙布岬産の昆布が売っていたのですが、今思えば買っておけば良かったかなあなんて思っていたり。
○○産昆布って各所で見かけるのですが、その土地を離れると見かけなくなるんですよね。空港などでみかけるのは有名な日高昆布とかが多いので、興味を持ったらその場で購入するといいですね。
お土産屋さんの近くに根室市北方領土資料館がありました。
入館は無料なので、気軽に入れます。乗り物の待ち時間とかあれば良さげですが、私はひざの痛みを抱えながら根室に帰らないといけないので今回はよしとしました。
>>根室市北方領土資料館(*1)
といいつつ、納沙布岬の先の方まで歩いてみることにしました。灯台が見えていたので気になっていたんですよね。
バイクで1人旅をされている方が写真お願いできますか?と話しかけてくれたので、お互いに撮りあいっこをします。こういうのも1人旅同士ならではでいいですね。
灯台の近くにいくと、野鳥の観察舎が隠れていました。
鳥がたくさん飛んでいるのは確認できるのですが、その名前が分からないのが何ともつまらない。区別できたら楽しいんだろうなあ。
ちなみに内部はこんな感じです。
窓の部分に上下1枚ずつ白い板は開閉できるようになっています。これで身を隠しつつ、鳥を観察するみたいです。意味もなくやってみるのはお約束。笑
灯台からお土産屋さんへの帰り道です。灯台側から撮影しました。道も平坦だし、ぽつらぽつらとお店があって今まで見てきた岬とは違う感じがします。
ちなみに根室の夏場は花咲ガニが有名だそうです。お土産屋、魚屋さんなどいたるところでみかけました(とうとう最後まで食べる機会がなかったけど…)
鈴木食堂というお店を発見。サンマ丼が有名だそうです。
ちなみにこのお店はライダーハウスが併設されているんですよね。ちょっと気になったのですが、まだお昼だったし根室までは帰られるかなあと思って通過してしまいました。
目的地を決めず、好きなところに行けるのが自転車旅の醍醐味ですが、今回みたいに時々運(縁)が絡むことがありますね。それと名所と天候の組み合わせ。
そういえば納沙布岬のお土産屋のそばには立派なトイレがありましたよ。
トイレが大きいところは、立派な観光名所ということなのかなと思っています。
一通り観光を終えたのでそろそろ出発するかと自転車に戻ると…。隣にあった郵便ポスト、実は日本最東端ポストだったようで。笑
自転車にまたがりいざ出発します。右ひざの痛みは中々のものでしたが、根室までは頑張ろうと気合を入れます。帰り道にご丁寧に案内板が。
写真でいうところの左(太平洋回り)からやってきたので、今度は右回り(オホーツク海回り)で根室の街に帰ります。北方原生花園…?ちょっと面白そう!
こうやって思いつくまま進めるのが自転車旅のよいところですね。
海岸線オホーツク海編がスタート
オホーツク海側を通り根室の町に戻る
根室から納沙布岬まできた太平洋側の道を思うと、民家が多い印象でした。しかし、オホーツク海側は印象が一変。写真のように自然豊かな風景へと変わりました。
根室、納沙布岬間は片道20km程度だと思うのですが、こんなにも印象が変わるのは面白いというか怖いというか。今日は人里離れる予定がなかったもので、気持ちの整理が追い付きません。
延々と似たような景色が続いていたのですが、突然「北方原生花園」の文字が現れました。
自転車は適当に置いておけるので、鍵だけ締めて徒歩で進みます。
>>北方原生花園(根室振興局)(*2)
ちなみに入り口はこんな感じです。鍵を開けて入って、また締めてのセルフサービス式です。先客の方が歩いているのが見えますね。
ところで、なぜ鍵が必要なのかといいますと…。
なんと園内にポニーが放牧されているようです。つまりポニーが道路に出ないように鍵をしろという意味だったわけですね。
動物が好きなのでわくわくしてきました。ポニーには会えるかな…??
この北方原生花園は歩道部分に木道が作られていて、その上を歩いて先に進みます。木道はものすごく長くて途中で引き返してしまったのですが、全貌がどの程度のものなのか私もよく分かりません。
花園というくらいなので花も咲いていますよ。
ハマナスの花が咲いていました。この旅行中はじめてみたのかな。花の観察をしながら木道を進むと…。
ポニーを発見!みんなで元気よく草を食べています。人間が近くにいても驚かないことに、私が驚いています。
今回の旅で飼われている馬は何度も見かけたのですが、近くでみると想像以上に大きいんですよ。それに比べるとポニーは小さくて可愛いです。でも、近づいてみたいかといわれると…うーん。笑
木道を横切るポニーの親子がいました。
子供ポニーが木道にうまく乗れなくて、親が待ってあげている姿が印象的でした。助けないで待つというのがいいですね。いつかは自立しないといけないわけで。
ポニーの親子に木道を塞がれたので(笑)、Uターンして帰路をいくと木道の真横でお食事中の黒ポニーがいました。近くで見ててもこちらのことなんてお構いなし。
色んな人間いるからもうちょっと警戒した方がいいぞと思いつつ、ふてぶてしい態度は少し見習いたいかな、なんて。
ふらっと立ち寄ったところでしたが、静かで私好みなところでした。
自転車を走らせていると根室近くに乳牛がたくさん放牧されていました。
もう何度もみた光景ですが、乳牛たちの動きが穏やかなのでこちらも気持ちが安らぎます。
癒しの空間がもう一軒。
これはもしかして日本最東端のラブh…
根室に戻ってきた
無事に根室に戻ってきました。日も暮れておらず、もう少し行動できそうなので明治公園というところに向かいました。
ここは日本の歴史公園100選にも選ばれている公園らしいです。3基のサイロと草の感じが絵になるんですよねえ。と、通ぶった話をしていますが、何故かサイロ2基が木に隠れるという、壊滅的芸術センス。誰か助けて下さい。
さて、右ひざの痛みも酷く、今日はもう終わりでいいかなと切り上げます。ちょっと栄養をつけたいなと思いましてやってきたのは…。
回転寿司「根室花まる」です。根室に来ることがあれば1度は来たいなと思っていたんですよ。しかし、そのまさか”1度”が自転車で来ることになるとは。
最近は東京の丸の内にも出店しています。話題になっていたのは知っていたんですけど、丸の内に縁がない人間なので機会もなく(笑)せっかくなら本場で食べたいなあって。
回転寿司ではありますが、最初におすすめメニューも渡されました。食には疎いものの、釧路、根室産とか地元の名前を書かれると気になりますね。
ちなみに私はいわしとアジが好物です。普段、回転寿司に行くと2品だけ食べ続けることもあります。笑
ひかり物って鮮度が命なので、一切の誤魔化しがきかないじゃないですか。特別高い食べ物ではないかもしれませんが、この2品の扱い方は重視しちゃいますね。
海産物が近くでとれるだけあって、全体的に新鮮ですね。今回は特別な機会なのでまんべくなく食べるようにしました。笑
今回の旅ではなまものは避けるようにしていたんですよ。自転車に乗っていて腹痛を起こすと笑えませんからね。でも、今日は食べると決めていたので、思いっきりいけたと思います。
食、お金両方の意味でもメリハリは大切にしたいですね。ケチるだけでは心が擦れますので。
さて、お店を出たら後は寝るだけ…とその前に、大きな街にいるのでお風呂には浸かりたい。
せっかくなので昨日とは違うところにしようかなと思い「たから湯」を訪れました。
お風呂で足をのばすと、右ひざの痛みが昨日より酷いことがはっきりと分かります。日に日に痛みが増すのはちょっと頂けないな。
明日から根室を離れて自然の中を行くことが多いと思うとちょっと不安ですね。知床峠が迫ってきていますし。
この日は野宿となりました。縁がないとこういうことになります。
北海道11日目まとめ
北海道11日目 52.67km走行(積算距離:674.90km) / 全行程13日目(802.93km)
目標の1つとしていた本土最東端の地を踏みました。
まだまだ序盤で先をみるときりがない話ではありますが、1日1mでも進めばいつかは苫小牧に戻るでしょう。継続が大切であるということをこの旅で身をもって教えてもらっています。
これからは海岸線の北上を続け日本最北端の地、宗谷岬を目指します。しかし、その前に知床峠を攻略しないといけません。果たしてそれまでに足の状態は回復するか…?
参考にしたサイトや文献
*1 根室市公式HP | 根室市北方領土資料館
*2 根室振興局 | 北方原生花園(根室振興局)
*3 根室市公式HP | 明治公園
*4 根室花まる公式HP | 根室花まる