『北海道海岸線一周(7) 道央編5 -復活!十勝川をわたり浦幌へ-』
ー前回までのあらすじ(前回は【道央編4】足のけが、しばしの休養【大樹町周辺】)
雨のなか道央の海岸線を自転車で進み、無事大樹町に到着。しかし、慣れない自転車旅でひざを痛めてしまう。
途中で出会った現地の方のご厚意もあり、しばらく休ませてもらうことになる。
奇遇にも出会った方は世界を自転車で旅していた経験者。その話は壮大で、自分の世界観の小ささを思い知り圧倒される。
この数日の休養期間中、自転車こそ乗らなかったものの、様々な人との会話の中で心の整理がされていく。漠然と「北海道の海岸線を一周しよう」と考えていた目標が、確固たる決意に変わるのを自分の心の中で感じていた――
北海道7日目…大樹町を出発し海岸線に戻る
大樹町を離れる、別れはいつだって寂しい
今日は大樹町を出発する日です。
朝起きたら家主の方は先に出かけられていました。お別れは昨日済ませましたが、何だか寂しい気持ちがあります。
でも、こんな気持ち前にもありましたよね。そう、オーストラリア人の旅人です。あの時も寂しい気持ちを乗り越えて、新たな出会いがありました。今回もきっとそうです。
だから、今日までお世話になりました。助けてくれてありがとうございました。という気持ちで出発しました。
出発直後の写真ですが、曇ってみえるものの、遠くの方は晴れていそうでした。ここに来た時と違っていい感じですね。何より心のなかが晴れやかな気分です。
それでは『海岸線一周ルール』にのっといて、海岸線に戻りましょう。まずは大樹の町に戻ることにしました。
行きに寄った道の駅『コスモール大樹』に寄ってアイスクリームを食べました。
いちご味…だったかな?北海道のソフトクリームはコクがあって美味しいです○
ソフトクリームを食べる習慣は先日別れたスタンプラリーの方の影響が強いです。「うまいっすよー何でも食べてみないとー!」というさわやかなセリフが印象的です。
私は食べ物に関心が薄いので、人に勧められないと新しいものは口にしないのですが、今日以降、興味をもったものは口にしてみようと決めました。
ところでこの頃からリアキャリアの上で洗濯物を干しだしました(笑)貧乏臭さが一気に増しますね。
でも、何としても海岸線を一周するぞという決意からというにもあるのかな。変に人目を気にしなくなったというか。
大樹町から海岸線に戻る細道を行く
大樹の街から離れて海沿いを目指していると馬(ポニー?)がいました。一応つながれているみたいですが、柵とかないので大丈夫なのかな?と心配になってりも。
この感覚が都会からくる私のような人の情けない感覚なんでしょうね。動物たちは強く生きています。
さらに街を離れるにつれて、酪農を多く見かけるようになりました。白黒の乳牛たちが沢山います。
私のような北海道素人が思い浮かべる”THE 定番風景”がみられてちょっと嬉しかったり。
酪農場を過ぎると、海沿いの道に向かう静かな道が続きます。
側道が削られてヒビが入っているのが分かると思います。冬の雪かきの車の影響なのかな。
側道の大きさは十分でも、走る環境がよくないというパターンは今後多く続きます。
気をつけて走らないとタイヤをとられて転倒の危険があります。今回の道路は車の通りが少ないので車道を走ればいいのですが、車が来たときに少し気を遣いますね。
ところで大樹町は宇宙航空が有名です。
ホリエモン(堀江貴文さん)のロケットを打ち上げている場所もこの大樹町なんですよ。ロケットの打ち上げなんて夢がありますよね。いつか上手くいくといいな。
私は行っていないのですが、大樹町宇宙交流センター SORA(*1)という展示施設があるそうなので興味がある方はぜひぜひ。
海岸線に戻ることができた
海岸線の道に合流しました。海岸線より少しだけ内陸の道ですが、ここが最も海寄りの道のようなので、北上していくことにしましょう。
大樹町を出発した頃は曇り空が多めでしたが、急に晴れてきましたね。走っていてとても気持ちがいいです。
久々の天気ということで、乳牛たちも土の上でごろごろしていました。乳牛って穏やかそうな感じがして好きなんですよね。あとしっぽの動きがちょこちょこしていて可愛らしい。
しばらくしっぽの動きを観察して楽しんでいましたが、いつまでもいるわけにもいかず、北上を再開します。
しばらく走っていると看板がみえてきました。釧路100km、浦幌28㎞だそうです。
この時、「28kmだけど、今日は浦幌まで行けたら良しとしようかなあ」って思いました。
先日、ひざを壊して散々な思いをしましたから、距離を求めず、無理をしないで楽しむ精神が徐々に身についてきています。笑
浦幌まで行けたら、次の日は釧路まで72km程度。無理なく行けそうです。
それにしても、看板に釧路の看板が出てくると何だか考えてしまいます。
フェリーのなかで、海岸線を時計周りか反時計回りかで迷いましたよね。私が今やっている反時計回りは釧路まで大きな街はなさそうだけど、大丈夫かななんて考えたなあ。
実際やってみて、ひざ壊したり色々あって大丈夫ではないですけど(笑)たくさんの人に助けられて何とか続いています。過去の自分に言ってやりたいですね。
「心配しないで勇気をもって走り出せよ!」って。
十勝川を渡り浦幌へ向かう
道路を進むと、十勝川が見えてきました。
奥の方、曇っているのがみえますか?私が走っているところは天気が良かったのですが、十勝地方は落雷注意報が出ていたようです。中々天気が安定しませんね。
十勝川を渡す橋を走ります。天気がよかったので風が抜けて気持ちがいいです。
この橋はとにかく長い!写真左側にチラっと写っているのですが、橋の下は川だけでなくて、緑も多いんですよ。動物とかいるのかな。
しかし、大きな川ですねえ。東京住みの私の感覚からいうと荒川の橋をずっと大きくしたものを渡っているという感じでしょうか。綺麗さは断然十勝ですけどね。笑
橋を渡りきるとにんじんの畑などが続き、浦幌の町が近づいてきます。
浦幌町に到着、キャンプ場の受付とご飯、風呂
町の入口あたりに乳神神社という神社がありました。「おっぱいの神様」だそうです。
ありがたやありがたや。
子宝安産病気平癒だそうですが、やたらインパクトの強い看板ですね。
さて、時間はまだ余裕がありましたが、キャンプ場を探すことにしました。というのも、実は北海道に入って一人で夜を越すのって初めてなんですよね。
トラブルが起きるといけないので早めの行動を心掛けることにしました。
手元のキャンプガイドで調べていると、うらほろ森林公園キャンプ場(*2)という施設があるようなので、この日はそこを寝床にすることにしました。
>>うらほろ森林公園キャンプ場(公式HP)
十勝方面からでしたら、セイコーマートが途中にあります。また、町のなかにセブンイレブンもあるので食べ物の調達は困りませんね。
受付を済ませて、明るいうちにテントを張ってしまいます。
テント自体は何度も張っていたので、パパっと済ませることができました。今まで一緒に行動してくれたみんな、何とかやってるよ。
それと、この日北海道にきてはじめてバーナーを使用しました。…といっても、カップラーメンのお湯とお茶を入れたくらいなんですけどね。笑
でも、温かい食べ物や飲み物は本当に大事です。えりも岬で体を冷やすことの恐ろしさを叩き込まれたので、意識的に温かいお湯(お茶)を飲むように変えていこうと思っています。
怪我で停滞したとき、色々反省したことが少しでも活きてくるといいな。
ご飯を食べて一息つくと、やっぱりお風呂に入りたくなりますね。
お風呂については町の中に健康湯という公衆浴場(*3)があるそうです。22時までやっているので(受付は21時330分)、テントを張って食事を済ませてからでもゆっくりと入ることができますね。
>>健康湯(公式HP)
中に先客が1名いました。やたらいかついおじさんで、(おお…おっかねえ…)なんて内心思っていたのですが、目があって話しかけられました。
「兄ちゃん、おれそこのロッカーに付いている虫嫌いなんだよね」
話すとめっちゃいい人でした。
お風呂からあがると受付横にラムネを発見、これは飲むしかない…!
復帰初日はのんびりといいつつ、何だかんだ一日中漕ぎ倒していたので、結構疲れましたね。炭酸が体にしみて最高な気分です。
帰り道はまっくらでちょっと怖かったですけど、無事自分のテントまで戻りました。北海道初めての一人夜ですね。
テントのジッパー閉めて大人しくしていましたが、テント内部のてっぺんにランタンが取り付けられるので、その光を頼りに地図やキャンプ場ガイドを読んでいました。
私は元々本が好きなので、こうやって書籍から情報を得てのんびりやるのもいいよなあ、なんてその時思いましたね。
北海道7日目まとめ
北海道7日目 78.71km走行(積算距離:348.67km) / 全行程9日目(476.70km)
怪我休養明けだったので、無理をせず80kmくらいにしてみました。
釧路まで行けたかもしれませんが、無理せずブレーキをしっかりかけられた点を評価しています。先は長いですからね。
80kmにしたとは書きましたが、北海道の海岸線ってまったくの平坦ではなくて、緩急ある坂が続いていたりするんですよ。負担は結構ありますから、油断は禁物です。
今回は乳牛がみられたり、十勝川を渡ったりと、私たちの考える北海道感が出てきましたね。これから先、もっと色んな景色がみられることと思います。
明日、目指すは釧路です。天気予報などでも地名が出てきますから大きな街なのだろうなと予想しています。初めての釧路はどんなかな。
参考にしたサイトや文献
*1 大樹町HP | 大樹町宇宙交流センター SORA(展示施設)
*2 うらほろ森林公園HP | 施設紹介(キャンプ場フリーサイトなど)
*3 浦幌町HP | 公衆浴場「健康湯」