サイクリング

自転車で北海道の海岸線一周を達成してみて【終わりに】

北海海岸線一周自転車旅-総括

プレシジョントレッキングという自転車を改良し、北海道の海岸線一周に挑戦しました(厳密には旅のために改良していたわけではなく、なりゆきですが。汗)

そしてその様子を当ブログで記事にしていたのですが、前回更新した【終章2】東京へ、北海道一周の旅完結【水戸→東京】という記事でとうとう完全完結することができました!

>>すべての記事のまとめは北海道海岸線一周3000km物語

今回の旅は全行程45日(うち北海道は41日)、総距離は3000kmを超え、中々の長編ものになりました。

この記事では北海道海岸線一周を終えてみて感じたこと(楽しかったこと、辛かったこと、得られたもの等)をまとめて、旅の総括としてみたいと思います。

感想: 楽しかったこと

達成感がある

壮大な北海道の海岸線を一周したというのは達成感がありました。

この手の話は日本一周、世界一周と上を見ればキリがありません。だからこそ自分で厳密にルールを決めて実行・完遂することに意味があると思います。

私の場合は海岸線一周ルールを完遂がそれにあたりました。進む先が行き止まりだと分かっていても、海岸線ならば行き止まるまで進み、そして戻ってくる。酔狂なことをしたなと思いますが、ルールを守ってゴールをしたからこそ、大きな達成感が得られました。

地図を見て分かる範囲ではありましたが、妥協せずにやりきったことは自信に繋がっています。

「お兄ちゃんそっちは行き止まりだー」

「いえ、自分は行き止まりまで行かなければならないんです!!」

終盤の道南にて地元の方とこんなやり取りがありましたが(笑)それもこの先ないかと思うとちょっとだけ寂しい…かな?いや、もう海岸線ルールは二度と勘弁(^^;)

でも、こんなルールでも敷かないと見られない風景も多かったので、決して辛いことばかりではなかったです。

インターネットが発達して何でも調べられる便利な世の中にはなりましたが、実際に自分で赴き、感じることでしか分からないものもあるなと実感しました。

出会いが多かった

行きのフェリーで2人の自転車乗りと出会いました。今思えばそこからして恵まれていたと思います。その2人とは旅終了後に東京で改めて飲み会を開き再会もしました。

北海道上陸後も数々の自転車乗りの方たちと出会いと別れを繰り返し、その都度終始楽しく交流が取れました。そのほかにも現地の方に泊めて頂いたり、旅行客の方に差し入れを頂いたりと人との交流が多くて楽しかったです。

車に煽られたり嫌なことも多々ありましたが、嫌なことは生きていればどこでもありますからね。

年を重ねると人との出会いが減りがちですが、その点が一気に解消されてとても刺激的で充実した生活を送ることができたと思います。

食べ物が美味しかった

北海道といえば美味しい食べ物てんこもりなイメージですよね。

私は海岸線を中心に走っていたので、超有名な観光スポット(札幌・富良野など)を多々スルーしてきたのですが、それでも美味しい食べ物には数多く出会うことができました。

しかし、私個人としては「いつもと違うものを食べてみよう」と興味を持てるようになったこと自体が大きな変化といえます。今まで食べ物に興味がなかったものでして。汗

そんな私が心を動かされたのは、やっぱり一緒に走った自転車乗りの方々の影響です。皆さん本当に色々な情報を知っているし、楽しそうだったんですよ。これは楽しそうだと、流されるままに色々食べていたら価値観が大きく変わりました。

過去の自分はウニ丼を目の前に「高い!」などと難癖つけて絶対に食べなかったのですが、実際食べてみるとあれは美味しいですね。。

知らない土地に行き、知らない食べ物を食べてみる、人生を豊かにするちょっとしたきっかけに気付くことができました。

自然が豊か

さすが北海道、動植物が豊かでした。

鹿やらキツネやら映像でしか見たことのないものがゴロゴロといたので、これも楽しかったです。熊は出なくて良かった(^^;)

納沙布岬の近くでのびのびと生活するポニーを間近で観察できたのも印象に残っています。

植物に関しては北海道の涼しさ故か、不思議な光景を多々目にしました。例えば、アジサイとコスモスが満開でヒマワリが枯れている。これは室蘭近くの礼文華近辺の話で、不思議な世界に迷い込んだかのような光景でした。

開花条件がどうとか言いだすとキリがないので、ここはメルヘンな話で留めておきます。笑

感想:辛かったこと

怪我・病気は心細くなることを知った

開始早々、道南で無理をしすぎてひざを痛めてしまいました。体を痛めると移動距離が減少、最悪は停滞・休養となってしまいます。

大きな街が近くにあればいいですが、北海道のような広大な大地を前に無理して進むことはリスクヘッジとして賢い選択とはいえないですね。無理をせず慎重に、そして確実に進むことの大切さを学びました。

それと道南で味わった謎の食あたり。あれほど夜が長いと感じたことは人生でも初めてで、それにくわえて最も孤独を感じた夜でした。

心身ともに健康であることが第一だ、と思い知らされる旅となりました。

暗闇は怖い

テントを張っていざ寝ようかと思うと、何やら物音。周りは真っ暗なので物音の原因が何かは分かりません。

ネコか、キツネか、はたまたクマか…?

こんなとき、人間は暗闇の前には無力ということを思い出させられます。

都内にいると街灯やお店の明かりが強烈で、24時間昼みたいな状態です。夜でも当たり前のように出歩くことが出来ますが、自然界では人間の能力は底辺もいいところ。知らぬ間に動物としての感覚が衰えているんだなあということを実感しました。

暗闇に対して無力な人間は日のあるうちに寝床を決めて、寝てしまうに限りますね。

雨を舐めてはいけない

雨の寒さが身に沁みました。

普段の生活においても雨は行動範囲を制限し嫌なものですよね。それは自転車旅でも同じ、いえ、それ以上のものであることを痛感しました。

自転車旅において体を冷やすことは、体調不良に直結しご法度といえます。体調不良で済めばいいですが、低体温症にでもなったら命の危険に晒されます。

道央編えりも岬を走っていたあたりがしんどかったです。かなりの雨と霧、非常に寒いなかで何とかなるだろうと走っていましたが、どんどん体温を奪われて…、今思うと雨に対する認識が甘かったですね。

えりもで痛い目を見たからこそ、以降の雨は比較的余裕をもって対処が出来たかなと今となっては思えます。

自転車旅は走った後に室内で暖かいシャワーが約束されているわけではないので、その辺りのリスク管理はしっかりとしたいものです。

感想:旅を通して変わったこと

体が強くなった

自転車旅は体が資本、健康的な体がないと始まりません。旅の開始当初は体調面に相当な不安を抱えてのスタートでしたが、始まってしまえば何とかなりました。

そうはいっても出発当初は行き道の大洗まで2日かけていたり、慎重に進みだしています。冒頭から心折れたらつまらないですからね。人は人、自分は自分のマイペースで。

人よりのんびりスタートとなりましたが、それでも帰ってくる頃には嫌でもパワーアップしていました。限界まで漕ぐ挑戦とかはしませんでしたけど、大洗(水戸)から東京間は一日で余裕の状態だったので体力、精神面ともに向上していることが分かりました。

筋肉向上という点では、旅を終えるころにどういう変化が起きるかなと内心楽しみにしていました。個人的には足周りが太くなるかな?と期待していたのですが、結論からいって下半身に変化はなく、上半身が大きくなりました…!

重たい荷物を支えながら走っていたからなのか、上半身が知らず知らずのうちに強化されたみたいです。人からも指摘されるのでたくましくなったことを実感しています。

精神力が強くなった

雨に霧、強風、熊出没注意、峠道…など挙げだしたらキリがありませんが、多くの試練がありました。

自転車旅は基本的に自己責任です。自分でどう行動するかを考えて進まないといけません。その取捨選択を繰り返していたら精神面が鍛えられたようです。…そんなかっこいいものでもなく、ただ動じなくなったというか。笑

ただ、動じなくなるのはいいこととしても、無鉄砲なのはまた別問題。これは駄目だなと思ったら止める、引き返す、停滞するこういった選択肢を積極的に選べるようになったのも良かったと思います。

何ごとも過信は禁物ですね。

好奇心が戻ってきた

様々な経験を経て、自分の中にあった好奇心が戻ってきました。

体を壊してから何に対しても関心が持てませんでしたが、今回の旅を通して徐々に回復していったと思います。食べ物に対しての関心がその良い例ですね。

戻ってきたと表現するより、以前よりパワーアップしたが正しいかもしれません。

何事にも関心を持てる状態で生きることができると、より人生が豊かになるかなと感じています。今回の旅で好奇心回復のきっかけをもらったので、あとは以降の人生にも活かしつつ様々なものに関心を持って生きていきたいですね。

寄り道、回り道悪くない◎

まとめ:終わりに

以上、北海道海岸線一周の総括でした。一言でまとめると「楽しかったです!」と書けばそれで終わりな内容なのですが、最後ですしそれっぽいことを書いてみました(^^;)

最後にこの旅を通してちょっとだけ思ったことを。

人生は長いわけで、その中で上手くいかないこともあります。むしろ上手くいかない方が多いでしょう。そんなときにちょっと立ち止まるなり、環境を変えてみるというのは人を成長させるきっかけになるのかもしれません。

言葉にするのは簡単ですが、今回の旅を通して私はそのことを強く感じました。

私は思い切って人生の45日を旅に捧げてみました。無難に生きているとなかなかまとまった休みは取れないので、覚悟のいることといえばそうでしたが、私の存在など宇宙規模でいえばノミ以下のものです(笑)行動して良かったなと思っています。

年を重ねていくと学業、仕事、結婚など責任が重くのしかかりなかなか大きな動きを取れなくなってきてしまう人も多く存在すると思います。当然、私にも再度のしかかってくる負担ではあるのですが、一度そのレールを叩き壊したことで見えたものが数多くありました。

普段の生活ではなかなか出会えないワイルドな人間との出会い・交流は、生き辛くて仕方なかった人間社会に対する私の価値観を大きく広げてくれました。本当に感謝しています。

今回の旅を通じてもう1つ分かったことがあります。それは「行動を起こす人に性別・年齢・身分は関係ない」ということです。

ここでは書ききれないくらいたくさんの人と出会いました。皆共通しているのは起こしている行動に対して楽しそうだったということでしょうか。

私自身忘れないようにしていきたいなあと思っています。

私の北海道一周の記事を読んで下さった方の中には、実際に長旅をやってみたい、興味本位で読んでみたなど様々な考えの方がいるでしょう。

絶対に楽しいので、実際に挑戦することをおすすめしたいですが、人それぞれ事情はありますからね。せめて記事の写真1枚、文章の1文字でも「何か楽しい思いをするためのきっかけ」になれば嬉しいです。

これから当時の旅装備やキャンプ用品のことなどをまとめていこうと思います。細かい話はまだ続くので興味のある方は引き続きお付き合い頂ければと思います。

そんなわけで北海道海岸線一周物語、これにて一旦完結!!

いざ、非日常の世界へ…
北海道自転車の旅~海岸線一周3000km物語~

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元値25,000円ほどの街乗り自転車(プレシジョントレッキング)とともに北海道へ。ただ道路の果てを知りたくて、ひたすら海岸線を進み続けた日々のお話。

プレシジョントレッキング(プレトレ)の改良遍歴
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