『北海道海岸線一周(12) 道東編4 -牧場の横でキャンプをしよう!-』
ー前回までのあらすじ(前回は【道東編3】本土最東端到達!納沙布岬とポニーと【根室】)
本土最東端にあたる根室、納沙布岬に到達しました。
行き道は太平洋側を通り、帰りはオホーツク海側を経由し海岸線一周ルールもしっかりと遂行します。オホーツク海側は自然豊かで、途中立ち寄った北方原生花園ではポニーが放牧されていて間近で観察することができました。
右ひざの調子が悪いので、根室に戻った段階でその日の行動は止めにし、もう一晩明かすことにしました――
北海道12日目…根室から厚床方面へ向かう
痛みと選択肢の甘え(自戒を込めて)
起床とともに右ひざに痛みが走ります。昨日よりもさらに痛い。
思えば道央の大樹町にいた時も右ひざの痛みがあって足止めを喰らいましたが、今回は同等か、それ以上か。歩いているだけでひざに激痛が走ったので、今思うと相当だったかもしれません。
一瞬、病院に行くこともよぎりましたが、スマホ壊れてるし、朝も早くて人もいないしでいいやって判断しちゃったんですよね。旅が終わってみれば賢い判断ではないなと思うのですが、何かに挑戦しているときって変なアドレナリンが出てて進んじゃうことありませんか。
何事もなければよしとしてしまうのは人間の良い点でもあり、悪い点だと思います。しかし、自転車旅の場合、そういう感情をコントロールできるようにならないと致命傷をこうむる機会が多いと感じます。
仮にこれが海外自転車旅だったら止まって休養したでしょう。国内だから進む選択肢を取ったのは「何とかなるだろう」という自分の考えの甘えが出ていて後で反省しました。すみません、話が反れました。
根室から厚床方面に向かう
国道44号線を走りながら厚床方面に向かうのですが、根室周辺はそのほとんどが坂道かというくらいの地獄構成。上り坂のほとんどは押しました。
押したところで荷物が重いのでしんどいったらないです。踏ん張る時に痛みがきて力が抜けてしまうので進みが悪い。
平地では自転車に乗りますが、その時感じたのは踏み込むより引く足の方が痛いらしいということ。頑張って踏み込んで油断したところに引いて痛みがくるんですよね。
ギアを軽くすると楽ではありますが、その回数分”引く”ことになるので痛み的には難しいところ。重いのは力が入らないので踏めません。
平地はちょっと漕げばそれなりに進むので、左足中心でがんばりました。下りは乗っているだけ、のぼりは諦めてゆっくり押します。さて、えっちらおっちら進むと…。
道の駅「スワン44ねむろ」を発見したので即休憩です。数字付いていたのでなんだアイドル活動でもしてるのか、と思えば国道44号線上にあるから(…合ってる?)
体がかなり消耗していて今日はここまででいいんじゃないかと思ったり。
スワン44ねむろは風蓮湖の隣りに位置しています。湖を見にいくこともできますよ。静かなところなので落ち着いていていいです。
風蓮湖の周辺を少しだけ歩いてみると、タンチョウの生息地ですという看板が。実物はおがめず。
せっかくなら見たいなあと思っても、大体こういうのって見られない法則がありますよね。えりも岬のアザラシとか黒部立山のライチョウとか。笑
さて、風蓮湖の見学もそこそこに道の駅の中で休憩することにしました。すると入り口近くでソフトクリーム販売の看板を見つけました。
まあ普通の…と思いきや、大盛りの文字に目がとまります。ソフトクリームって大盛りあるのか…。これは…食べてみるしかない!
いや、でっかいのなんの。これはロマンあるね。
味はしっかり濃厚で食べ応え十分です。ただ大きいだけで大味だったら嫌だなと思っていたのですが、そこはさすが北海道といったところでしょうか。
近くの椅子まで持って歩いていたら、家族連れの方に笑われたのは良い思い出。笑
しかし、北海道旅以前だったらこういう食べ物に目がいかなかったと思うんですよね。道央でスタンプラリーの方と一緒に行動していて、食べ物への意識が変わったかもしれません。
ああ、スタンプラリーの方、元気かなあ。
国道243号線の手前で
根室から海岸線を辿るためには、国道44号を西へ20kmほど進んで厚床の町へいき、そこから北上する必要があります。
この北上するタイミングは、厚床にある国道44号と国道243号のぶつかる交差点で、国道44号をそのまま走ると釧路へ、国道243号を辿ると別海町方面へ向かいます。まずは国道243号に乗ってしまいましょう。
時間はお昼を過ぎ、たかだか20、30km走るのに何時間かかっているんだという体たらくぶり。そろそろ交差点かなというところで、少し手前にセイコーマートがあったので、そこでちょっと休憩。
自転車を止めて休憩していると、駐車中のバイク乗りの男の方に話しかけられました。彼は1人旅をしている途中のようでした。その方も北を目指しているとのことで、話が盛り上がります。私がひざを痛めている話をすると
「あ、だったら近くに牧場が経営しているキャンプ場ありますよ、僕そこ行くので一緒にどうですか?」
という嬉しいご提案が!国道243号を入ってすぐのところにあるようで、気持ちとしては即決です。ただ、あんまり人数を入れない所と聞いて、恐る恐るガラケーで電話をしてみると無事空きがありました。
後で会いましょうとバイク乗りの方は先に向かいました(バイク速いな)
とりあえず移動前の腹ごしらえということで、スーパーカップ1.5倍のキムチラーメンを食べました。
世の中には色々美味しいものはあると思いますが、自転車旅中に食べるカップラーメンの美味しさったらないですよ。
それと後で飲みましょうってことで、コンビニでお酒とつまみも購入しています。誰かと飲める機会なんて久々なので足の痛みも吹っ飛んで向かえそう、…という気持ちはあるのですが実際は大変でした。
そういえば、興味深い看板がありました。国道243号を行く交差点近くにあったケーズデンキ最寄りのお店のお知らせ看板です。
「根室店30km、中標津店(なかしべつ)45km…」
スケールが大きいなあ。私の感覚でいう池袋、新宿間(約5km)くらいなのかな…。
さて、国道243号に入り、教えてもらった牧場に向けて進みます。
この道は飛行機が離着陸できるんじゃないかというくらいまっすぐな道でした。微妙な坂があってひざの負担はきつかったですが、ゴールが近いので頑張ります。
教えて貰った明郷 伊藤☆牧場の入り口を発見!
道路に大きな看板が出ているので、間違うことはありません。ただ、中は砂利道なのでパンクしないように押して歩いた方が良さそう。
キャンプ場は築拓(ちくたく)キャンプ場というのですが、受け付けは明郷 伊藤☆牧場内の「ちいさな雑貨屋Étable & 酪農喫茶GrssyHill」で行うようです。
>>築拓キャンプ場(*1)
>>明郷 伊藤☆牧場(*2)
入場料700円、テント一張り800円とやや割高にみえるのですが、
- シャワーあり(備品なし)
- 洗濯機あり(洗剤は自分で)
- 炊事場綺麗(お湯も出る)
- ごみ捨て場あり
- トイレ綺麗
- 一日10組限定なのですごく静か
という具合なので、実際利用してみるとすごく快適で満足度が高いんですよね。北海道でお世話になったキャンプ場の中で良い思い出になっています。
快適な築拓キャンプ場(伊藤☆牧場)
結構いい写真じゃないですかね。芸術センス0の私でも、この写真のクオリティですから、いかに良い雰囲気なのかが伝わるのではないでしょうか。
この日はたったの3組。コンビニで知り合った方と私、キャンピングカーでお越しの老夫婦だけでした。みなさん気さくですし、目的それぞれで雑談が面白かったです。
テントを張る時は、結露防止のために木や建物の下に張ることが基本です。
良い場所って大体取り合いになるのですが、ここは木も多ければ、人も少ないので一切の苦労がありませんでした。感激。
構図的にはいい写真のはずなんですけど、逆光の上に夜食べるコンビニ弁当を写しちゃう辺りが芸術センス0、生活感写真部門なら優勝。
斜面にバランスボールのようなものがたくさん置かれています。子供と一緒だったら楽しいだろうなあ。
せっかくなので洗濯をさせてもらいました。干す場所がよく分からなかったので、道路沿いの柵にかけておきます。景観を気にして控えめな場所に。笑
速乾性の服ばかりなので、短い時間ですぐに乾くのがいいですね。
何ともシュールな乳しぼり体験ゾーン。
夕暮れ、夜あたりに懐中電灯の先にもわっと現れるとびっくりします。笑
受付の横に住んでいる斬新な小屋の使い方をする犬のマメちゃん。たぶん、ここのアイドル。
もしも会話が出来るならば、「人気出るって分かっててやっているでしょ?」って聞いてみたい。笑
近づいたら起き上がってくれました。小屋から降りる気はないようです。笑
可愛くてずっと見ていられますね。
伊藤牧場近くで見た夕日です。
ふと、落ち着いて夕日をみたのっていつだったかなあって思いました。
足の状態がいいと日が落ちるぎりぎりまで走ろうって考えがちなんですよね。でも、周りをみる余裕がなくなるくらい生き急ぐのって、自転車旅の本質から反れてる気もして。ちょっと考えさせられました。
右ひざの怪我自体はいい気分ではありませんが、自分の行動を見つめなおす機会と思えば受け入れられる気がします。
バイク乗りの方と飲み会をして考えさせられる
本日の最後はお楽しみ、バイク乗りの方と飲み会です。
なぜ北海道へ?と聞くと「少し飛び出したくて」と。”こちら側”の方は似たような考えの方がわりといて少しだけ安心します。東京でそれを言い出すと、旅より先に病院を紹介されますから。笑
”こちら側”の人と会話をしていて気がつかされるのは、日常生活において生き辛さや、疑問に感じている人が思いのほか多いというところです。
しかし、私を含めてそういう問題をどう解消していいのか分からない。
そのきっかけの1つとして、旅に出るというのは悪くない選択肢なのだと思います。そのとき、自分の想像を少し超えるスケールの方が、”そういう人”と出会える確率が上がるのかな。スケールは人それぞれですよ。
私自身、人間関係で疲れて飛び出したつもりが、新しい人間関係で今までの気持ちが整理されているのは面白いというか、皮肉というか。
バイク乗りの方の良いところを見つけた
ところでバイク乗りの方と会話をしていて、その方の良いところを見つけました。
それは「地元の良い所をいくつでも喋られる」ところです。彼は静岡の生まれで、その良さが無限に出てきたのは驚かされました。
食べ物こと、地理のこと、人のこと、国道とお店の栄え方なんて話が出てきた時は、よく知ってるなあとただただ感心しました。
新しい環境で人と会話するとき、自分の地元の良さを語れるって素敵だなと思って、この日以降自分も取り入れるようにしています。
旅人との会話でも役立ちますし、それこそ学校や仕事先、どこのコミュニティでも応用がききますよね。
北海道12日目まとめ
北海道12日目 42.43km走行(積算距離:717.33km) / 全行程14日目(845.36km)
根室から厚床に進みました。距離にすると42.43km。
日に日に走行距離が少なくなっていますのが悔しいところ。その理由が右ひざの痛みというのも情けない話です。でも、ちょっとでも前向きに進むと良い人との出会いがあるものですね。
ひょんなことで出会ったバイク乗りの青年は、人生に悩みつつも芯のある方だったと思います。地元の話がそれに出ていると感じました。出会えてよかったな。
道東編に入ってからというもの、怪我の影響で距離が伸ばせないこともあって、頭の中で考えることが多くなっています。
道央でもいったん気持ちの整理したつもりでしたが、その時は旅に対しての考え方という部分が多かったかなと思います。今は元いた東京での人間関係のことが浮かびますね。
でも、決してネガティブな考え方をしている訳ではないので、1つ1つほぐして少しずつ身軽になりたいですね。北海道の海岸線を終える頃に心の成長がみられるといいな。
道東編は私の内面を探る描写多いので、文字数が多くてすみません。飽きずに読んで下さる方がいたらありがとうございます。嬉しいです。
明日からオホーツク海を本格的に北上することになりそうです。怪我、良くなるといいな。
参考にしたサイトや文献
*1 築拓キャンプ場HP | 築拓キャンプ場
*2 明郷伊藤☆牧場公式HP | 明郷伊藤☆牧場