『北海道海岸線一周(20) 道北編3 -奇跡の再会 in クッチャロ湖-』
ー前回までのあらすじ(前回は【道北編2】日の出岬は雨雲に包まれて【湧別→興部、日の出岬】)
湧別町から出発し、日の出岬まで進みました。
オホーツク海側に入ってから天候に恵まれず、どんよりした日々を過ごします。昨日は小雨に降られて寒い思いをして、赤信号の停止中には転んで自転車を倒しまうなど散々な一日でした。
中々良いきっかけをつかめず、もがき苦しみながら前に進むのでした――
北海道20日目…クッチャロ湖を目指す
最北端を目指して耐える日々
日の出岬キャンプ場にて起床しました。テントを出てみれば本日も雨。北海道に来てからというものの、快晴なんて数えるほどしかありません。涙
なんにせよ、何かを変えたいのならば前進するしかありません。まずは日本最北端の地を目指して、諦めずに少しずつでも前に進んでいきましょう。
さて、気を取り直して今日もオホーツク海を北上します。ひざの調子次第ですが、クッチャロ湖まで行ければ上出来とします。
しかし天気が悪くて寒いです。道中の国道238号はほとんど何もないので写真もあまりない。人とも話す機会がなかったので気持ち的に八方塞がりな状態でした。ここは耐えどころですね。
出発早々に発見したのは、道の駅おうむです。
スカイキャビンと呼ばれる展望台があり、隣にはスーパーがありました。
道の駅おうむから45㎞ほど先に進むと枝幸町(えさし)にある道の駅マリーンアイランド岡島がありました。建物全体が船の形をしていて面白いです。
ところで浜頓別の町に行く手前に北見神威岬という場所があります。海岸線ルール的にはそちらに向かわないといけないのですが、えげつないくらい霧が発生しているんですよね。汗
この写真は北見神威岬に向かう手前の北見神威岬公園で撮影しました。
北見神威岬公園から少し進むと、北見神威岬に行くか北オホーツクトンネルを進むか選ぶことになります。
分岐点を前にして、自分で課したルール破るわけにもいかず岬ルートを進もうとすると、落石のため通行禁止の文字。
仕方ないので北オホーツクトンネルを進みます。濃霧も嫌ですが、トンネル嫌いとしては全長1205mの長さは恐怖でしかありません。
何だか道北ではずっと試されている感じがしますね。
雨の中トンネルに入ると体が冷えるんですよね。道央で苦しめられた記憶が蘇ります。
トンネルを抜けた先、浜頓別側にも落石通行止めの看板がありました。霧の上に落石とは…おっかないなあ。
トンネルを抜けて国道238号を走っていますと、ウソタンナイ砂金採掘公園の看板を発見。
近くにあるのかと調べてみると、道道568号線を入って10km近くいったところにあるようで今回は遠慮しました。
500円で砂金堀り体験ができて楽しそうですが、自転車で10kmは覚悟が必要です。
それ以降もこれといって何も起きず、ひたすら国道238号線を進みます。雨があがったのが救いかな。
道中、風力発電が現れました。風力発電の羽根の風を切る音って、近くで聞くとすごく大きくて驚きます。
やることがないので、走りながら風力発電の数を数えたりして遊ぶのですが、地平線まで続く風力発電を前に絶望を感じたので(笑)途中で無になりました。
地獄の行進に耐えきって、無事に浜頓別町に到着しました。町に着いた時の喜びようといったら…。
浜頓別の町は道路は広くて自転車でも走りやすかったです。大きな薬局があったので不足していたものを買い足しました。
次の町に欲しいものがあるとは限らないので、見かけたら早め早めの行動が大切です。
浜頓別町にはクッチャロ湖と呼ばれる場所が有名です。
湖畔にキャンプ場もありますので、今日の宿泊先はそこに決定。
町の中の道路を進むとすぐにクッチャロ湖に到着しました。
この手の有名な場所は、よく町から10kmとかあったりして自転車乗りを泣かせるのですが、クッチャロ湖は町からすぐの場所なので助かりました。
着いた時は風がなかったので水面が静まり返って何だか幻想的でした。今日はこの湖畔でキャンプが出来るのでちょっとテンションが上がります。
感動の再会はクッチャロ湖で
ここは人気のキャンプ地のようで既に多くのキャンパーがいました。まずはテントを張ってしまいます。
テントを張ると「ああ、今日も何とか一日を終えられそうだ」という気持ちになって少し肩の荷が下ります。
お腹はまだ空いていなかったので先に風呂に行くことにしました。風呂はキャンプ場の隣にあるまとんべつ温泉ウィングがあるのでこれまたらくちん。
時間によって値段が違うようで、価格は以下の通り。
午前11時~午後2時 | 大人400円、小人180円 |
午後 2時~午後9時 | 大人550円、小人250円 |
目にした光景に一瞬、違和感を感じた
どんよりした気持ちの時は温泉に入ってゆっくりするに限ります。それくらいしか楽しみがないともいいますが…(笑)
でも、北海道の温泉って地域によって性質が多種多様なので面白いんですよ。アルカリが強くてぬるぬるしていたり、そもそも色が乳白色だったり。
私は温泉に入ることが好きなので、毎日変化があってすごく楽しいです。
さて、はまとんべつ温泉ウイングに向かいます。その途中、施設の自転車置き場を横目でちらっと見たときに一台の自転車に違和感を感じました。
「うーん、なんだか見たことがあるデザインの自転車だなあ」
特徴的な色といい、メーカーといい、これをみたことがあるのは人生で一度きりなんです。…そう、行きのフェリーです。
道央編を読んで下さった方なら覚えている方もいるかもしれませんが、行きのフェリーや苫小牧から大樹町まで数日間一緒だった自転車乗りの方のものと同じでした。
北海道道の駅スタンプラリー完全制覇を目指して大樹町で別れましたが…、これは彼のものかな?でも随分経っているし、そんなことありえるのかなあ…。
本人はいませんし、確信が持てなかったので、とりあえず温泉に入りながら施設内にいるかどうか探してみることにしました。
ロビー、いません。廊下、いません。脱衣所、いません。お風呂の中パッと見、いません。
うーん、やっぱり人違いかな。あ、そういえば、ここは休憩所があったよな。
休憩所は…、あ、いた!!!
奇跡の再会は突然に。そして新しい出会いも
休憩所にいたのは紛れもなくフェリー、道央でお世話になったスタンプラリーの方でした。
近くで声をかけると「うおおお!!おおおおおおおおおおお!!!!」なんて、お互いよく分からない声を出して3回目の再会を喜び合いました。
しかし、事実は小説より奇なりなんてよくいったものです。北海道の広大な地で自転車乗りが3回も顔を合わせるなんて。こんな奇跡を誰が予想したでしょうか。
色々と話したいことはありましたが、彼の隣には連れの人がいて、まずはその人を紹介してもらいました。
その人はママチャリで日本縦断を目指しているという学生さんでした。
彼は日本縦断のために埼玉からスタートしてここまで来たこと。でも日本縦断は最北端の地からスタートしたくて、まだスタートできていないという話をしてくれました。最北端スタートの話を当たり前のように話すので、ツボに入ってしまい爆笑しました。
3人とも最北端の地に向かうことは同じだったので、明日からしばらく一緒に進もうという話になりました。もちろん快諾です。
北海道当初の頃だったら、静かに一人で進みたいなと考えたかもしれません。でも、皆で行きたいなとすぐに思えた自分に変化を感じましたね。
私だけお風呂がまだだったので入ってきて、その後夕食を3人で食べながら今までのことを話しました。明日からの移動もあるので程よいところで就寝です。
北海道20日目まとめ
北海道20日目 94.84km走行(積算距離:1336.06km) / 全行程22日目(1464.09km)
日の出岬から浜頓別(クッチャロ湖)までやってきました。
クッチャロ湖の美しさを語りたいところですが、今日は奇跡の再会がすべてですね。以下は、湖畔で寝る前に一人で考えていたことです。少し長いですが。
ここ数日、どんよりとした日々を過ごしていましたが、好転のきっかけは負けずに前進したことでした。北海道で良い変化が起きるときはいつもそうでしたね。
多分、今後の人生でもそうなんじゃないかな。負けずに前に進むのです。
私は文章の中で、「見どころがない」と表現することがあります。でも、それは自分次第だなと考えることが増えました。
見どころは観光名所だけではありません。その土地の人や場所、物などすべてに対して自分は最善を尽くして、「見どころがない」と発言したのか試されている気がしました。
そうはいっても道北は観光名所と呼ばれる場所が少ないです。でもクリオネさんや今日の2人がこの地での記憶を豊かにしてくれています。思い返せば、道央の時もそうでした。
海岸線を一周するというベースは大事にしていますが、その物語の華は人との関わりであることに気がつき始めています。道央や道東の経験が私を変えているのですね。
ああ、日本最北端の地に辿りつく前に2人に会えてよかったな。
参考にしたサイトや文献
*1 はまとんべつ温泉ウイング | 温泉(日帰り入浴)